日本のA代表とU-22代表を兼任する森保一監督【写真:Getty Images】
日本代表は19日、キリンチャレンジカップ2019でベネズエラ代表に1-4の大敗を喫した。
まさに「惨敗」と言える敗戦だった。前半は守備で相手に全く対抗できず、ベネズエラの選手たちは好き放題に動き回る。そして8分のゴールを皮切りに、30分、33分と立て続けに失点してFWサロモン・ロンドンにハットトリックを許した。前半だけで4失点は日本サッカーのプロ化以降では初めてのことだ。
試合後、記者会見に出席した日本代表の森保一監督は「スタートから勝ちたいという思いを持ってくれたと思いますが、ビルドアップの部分、シュートまでつなげる部分に連係がなく、つけこまれた。うまくプレッシャーをかけれない中で、失点してしまったのは反省しなければならない」と惨敗を恥じた。
そして「選手たちは責任を果たしてくれた」と述べる一方、「結果の責任については、私の準備段階からの働きかけだと思います」と自らの非を認めている。
今回の国際Aマッチウィークでは、A代表とU-22代表の活動が並行して進んでいた。両チームの指揮官を兼任する森保監督は、14日にアウェイで2022年カタールワールドカップアジア2次予選のキルギス戦を終えた後、帰国してすぐにU-22代表へ合流して17日にU-22コロンビア代表との試合を指揮した。
その足で今度は広島から大阪へ移動してA代表の17日夜の練習を指導し、19日にベネズエラ戦という過密スケジュールとなっていた。2つのチームを“ハシゴ”することにより、両方ともが中途半端になってしまったか。キルギス代表には勝利したものの、U-22コロンビア代表とベネズエラ代表には言い訳のできない完敗を喫して“3連戦”は1勝2敗に終わった。
「全て勝つつもりで準備していましたが、2連敗。目に見える結果が全てだと思います。U-22代表は世界でもトップ10の強豪と戦い、ベネズエラ代表とも彼らのコンディションがいい中で戦うことができた。世界の強豪に勝っていくために、超えないといけない壁、相手の力を感じながら、負けてよしは絶対ないですが、成長するものはあったと思います」
森保監督はそう語って連敗を何とか前向きに捉えようとしているが、「もっとクオリティを高めて、試合より高いレベルでトレーニングする必要がある」と準備段階での課題も口にしている。
昨今のサッカー界ではクラブでも代表でも試合数が増え、特に代表チームとして活動できる期間はA代表か世代別代表か問わずどんどん短く制限されてきている。選手を代表に招集できる期間も限られる中、2つの全く異なるチームを同時並行で指導することの難しさは容易に想像できる。
2つの代表チームを率いれば、当然どちらかの指導に携われない時間が必ず出てくる。多くの国がA代表と世代別代表の指導者を分けている中、日本代表が現状のままであれば遠くない未来に危機的な状況を迎えても何らおかしくはない。
(取材:植田路生【大阪】、文・構成:編集部)
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