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本田圭佑はフィテッセで何を求められるのか? 長谷部誠も語る「何かやってくれる期待感」

本田圭佑の所属クラブがフィテッセに決まった。海外クラブでのキャリアをスタートさせた地であるオランダに戻った形となったが、フィテッセは本田圭佑に何を求めているのか。10年ぶりの帰還で新たな挑戦が始まる。(取材・文:本田千尋【フィテッセ】)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

“オリジナル”の響きを持つ言葉の数々

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フィテッセに加入した本田圭佑【写真:Getty Images】

 他の誰でもない“オリジナル”であること。そして、この世界の誰も追随できない“オリジナル”であり続けること――本田圭佑の哲学の核心は、想像以上にシンプルなものなのではないか。もちろん推測に過ぎない。だが、これまで切り開いてきた軌跡やいささか突拍子もない発言の数々を振り返れば、合点が行くのだ。

 08年1月にVVVフェンロでスタートした国外でのキャリアは、それからCSKAモスクワ、ACミラン、CFパチューカ、メルボルン・ヴィクトリーと続いていく。オランダ、ロシア、イタリア、メキシコ、オーストラリア…欧州から中米、オセアニアと、これらの国々を渡り歩いたサッカー選手は、少なくとも日本人では本田以外にいないだろう。

 同時に実業家としての顔も併せ持ち、15年にはオーストリア3部のSVホルンの運営に参画すると、「5年でCL」と豪語。その1年前に開催されたブラジルW杯に向けては、「優勝」を目標に掲げていた。大言壮語を公に発信して自らにプレッシャーを掛け、エネルギー源とするスタイルは周知のとおりだが、何よりビッグマウスが放つ言葉の数々は、“オリジナル”の響きを持っている。

 そして18年にロシアW杯を戦い終えた後では、20年の東京五輪にオーバーエイジで出場するという目標を公言。19年5月にメルボルンを退団してからは、五輪参加のための最善のクラブを選ぼうと“就職浪人”を続けていたが、ここに来て新天地が決定した。

 11月6日、フィテッセは、クラブ公式HPで本田を獲得したことを発表。契約期間は今季終了まで。CSKA時代に共闘したレオニード・スルツキ監督が、練習参加した本田の様子を見て、獲得を希望したという。

「小さい頃からずっと見ている」。若手に与える影響

 突然とも言える“異端のフットボーラー”の参戦の報は、現在エールディビジで活躍する東京五輪世代の選手たちに、少なからず刺激を与えたはずだ。年齢は10近くも離れてはいるが、全く意識しない、ということはないだろう。

 8日の対フィテッセ戦の後で、板倉滉は、「楽しみです」と話した。

「おそらくヨーロッパの選手が一番知っている日本人の選手じゃないですか、本田さん、香川さんというところは。ヨーロッパで誰もが知っている選手がこうやってオランダリーグ、同じリーグに来てくれたということは、すごく嬉しいことでもありますね」

 今季はFCフローニンゲンでレギュラーの座を確保し、CBとして成長を続ける日本代表DFは、本田のことを「小さい頃からずっと見ている」という。

「フェンロにいた頃も観ていたし、ロシアにいた時も観ているし。本田さんも狙っていますから、東京五輪組としての勝負もあると思うので、そこも負けずに頑張って行きたいなと思います」

 そして板倉と同様に、フィテッセの選手たちの中にも、フェンロでブレイクした本田の躍動を「小さい頃」に観たことのある若手がいたとして、おかしくはない。もちろん「小さい頃」に観たことがなくとも、本田のプロフェッショナリズムは、ピッチ内外でフィテッセの選手たちにも何らかの刺激を与えるはずだ。

「何かやってくれるんじゃないかなっていう期待感」を周囲に抱かせる男

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フィテッセで指揮を執るレオニード・スルツキ監督【写真:Getty Images】

 スルツキ監督によって起用されるポジションは、ボランチが想定されるという。怪我人が続出し、リーグ戦3連敗中のフィテッセを再び上昇気流に乗せるため、33歳の本田には、試合の流れを読み、ゲームをコントロールする力が求められることになりそうだ。

 長谷部誠がアイントラハト・フランクフルトで発揮しているような“ベテランの妙”を、[4-4-2]の中央のポジションで見せてくれるのだろう。

 もっとも、7日に行われたELスタンダール・リエージュ戦の後、長谷部は、本田について次のように言及している。

「最近の彼の状況っていうのは、あまり分かっていなかったんですけど、彼はクオリティあるし、いつも何かやってくれるんじゃないかなっていう期待感はあります」

 かつて日本代表で共にプレーした長谷部が言うように、「何かやってくれるんじゃないかなっていう期待感」を周囲に抱かせるのも、本田というサッカー選手。ベテランとしての落ち着いたプレーに終始せず、貪欲にアグレッシブな姿勢でゴールを狙いに行くに違いない。

 およそ10年ぶりに戻ってきたオランダで、本田の東京五輪を目指す“オリジナル”の戦いが、始まった。

(取材・文:本田千尋【フィテッセ】)

【了】

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