G大阪と神戸は一歩リード
9位以下の10チームが残留争いに巻き込まれる今季のJ1戦線。しかし、第30節を終え、その状況は少し変化が見られた。
下位チームの直接対決を制したのは、ガンバ大阪、ヴィッセル神戸、そして最下位のジュビロ磐田。G大阪は宇佐美貴史の2得点を含む3ゴールを挙げ、神戸は小川慶治朗の2得点を守り抜いた。磐田は清水エスパルスとの静岡ダービーを、86分のアダイウトンの決勝ゴールで制している。
G大阪と神戸はJ2との入れ替え戦(プレーオフ)に出場する16位との勝ち点差を7ポイントとし、次戦で残留を確定させる可能性が生まれた。
順位表上では2チームに続く浦和レッズだが、5日の川崎フロンターレ戦に敗れて4戦未勝利。AFCチャンピオンズリーグ決勝進出による日程変更で、2試合多く消化しているので、16位との勝ち点差は5だが、予断を許さない状況だ。
松本山雅はセレッソ大阪を相手に勝ち点1を拾ったが、それ以外のチームはすべて敗北。湘南ベルマーレはまたしても大敗を喫して、リーグ戦の連敗を5まで伸ばしてしまった。
直接対決は「6ポイントマッチ」と呼ばれる。勝利チームには勝ち点3が与えられるが、同時にライバルの勝ち点は0になるので、6ポイントの重みがある。つまり、2試合分の価値を直接対決は持っている。
残留争いに参加するチームが多いので、毎節の直接対決も増える。G大阪と神戸が残留争いを抜け出したと考えても、今週末にはベガルタ仙台対清水、サガン鳥栖対松本山雅の直接対決が予定されている。
2つの直接対決、勝負の分かれ目は?
ともに10勝15敗5分の勝ち点35で、12位、13位に並ぶベガルタ仙台と清水エスパルスの直接対決。順位表を見ても、この試合で勝ち点3を取れたチームが、残留に大きく近づくことになるだろう。
ホームで戦う仙台だが、本拠地ユアテックスタジアム仙台では、8月3日以来勝てていない。前半戦の対戦では3得点したものの、89分にFWドウグラスにこの日2ゴール目を決められて敗れた。仙台にとっては、得点ランキング2位タイにランクインするストライカーに警戒したい。
清水の懸念材料は失点数の多さ。64失点はリーグ最多の数字で、直近3試合はすべて2失点。いずれの試合も終盤の75分以降に失点を喫しているだけに、90分通してディフェンスが守り抜けるかが重要となるだろう。
もう一つの直接対決となるのは鳥栖対松本山雅。17位ながら松本山雅の失点数は、残留争いをするチームの中では最小の33。直近でもFC東京、鹿島アントラーズ、セレッソ大阪と、失点数が少ない上位陣を相手に結果的に勝ち点1を積み重ねているだけに、この試合でもしぶとい試合運びに期待したいところだ。
対する鳥栖は、守備の整備が求められるところだ。公式戦で最後にクリーンシート(無失点試合)を達成したのは、8月14日の天皇杯3回戦の柏レイソル戦。J1との対戦に絞れば、7月7日の川崎フロンターレ戦まで遡らなければいけない。リーグ最少得点の松本山雅を無失点に抑えることができれば、鳥栖は勝利に近づくことができるだろう。
それ以外のチームも、どうにかして勝ち点を積み重ねたいところだ。最下位・磐田は優勝を争うFC東京、16位・湘南はC大阪、14位・名古屋グランパスは神戸との対戦を控えている。
(文:編集部)
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