ポルトに所属する日本代表MF中島翔哉【写真:Getty Images】
ポルトが激しく怒っている。現地3日のポルトガル1部リーグ第10節でアヴェスに1-0の勝利を収めた翌日、クラブが配信するニュースレターを通して痛烈な審判批判を展開した。
公式声明で批判の矛先を向けられたのは、アヴェス戦でビデオアシスタントレフェリー(VAR)の責任者を務めたルイ・コスタ氏だ。
ポルトは声明の中で「試合のネガティブな側面の中に、VARによる2つの不条理な決定がある」と主張した。
「2つの不条理な決定」のうち1つは前半の24分、MFブルーノ・コスタがペナルティエリア内で倒れて一度はPKが宣告されたものの、VARの介入によるオン・フィールド・レビュー(OFR=ピッチ脇に設置されたモニターを用いての映像確認)において判定が覆された場面。
もう1つは40分に相手選手がペナルティエリア内でハンドを犯した瞬間を見逃していた点。ここでポルトにPKが与えられるべきだったと主張し、「ルイ・コスタ氏は、結果に影響を与える2つの決定に関わっている。どちらの場面でも2つのPKを奪われたポルトに損害を与えている」と強く非難した。
「主審が正しい判定を下した際、ルイ・コスタ氏は間違えた。そして明らかにPKと判定できた時、彼は行動せず、重大な間違いを犯した」
ポルトは繰り返しVARを担当したルイ・コスタ氏を責めたが、ブルーノ・コスタがペナルティエリアで倒れた場面はOFRによって「自分でつまづいた」と認定され、PKの判定が覆った。確かに中継映像で流れたリプレイやスロー映像を見ても、ブルーノ・コスタは相手選手が触れる前につまづいて転んでいるように見える。
40分の場面では右サイドからMFヘスス・コロナが投げたスローインをDFチャンセル・ムベンバが頭で逸らすと、アヴェスのDFアディ・メレミッチがクリアしようとした際にボールが腕に当たったように見えた。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ代表のセンターバックは両腕を体につけて避けようともしており、映像でもボールが腕に当たったかどうか判断するのは難しかっただろう。結局、VARとの交信した主審がポルトにPKを与えることはなかった。一方、ポルトは「メレミッチは明確に意図的に腕でボールをペナルティエリア内に落としたが、その動きは気づかれなかった」と指摘している。
ポルトはルイ・コスタ氏が2016/17シーズンのフェイレンセ戦と2017/18シーズンのアヴェス戦でもPKを見逃し、獲得できるはずだった勝ち点が失われたと、過去に担当した試合でのミスも持ち出して批判を展開した。
「結論は明らかだ。ルイ・コスタ氏は(今後の)ポルトの試合で主審またはVARになることはできない」
前節マリティモ戦で終了後に主審に詰め寄り、記者会見でも審判を批判したセルジオ・コンセイソン監督が危うくベンチ入り禁止処分を食らいかけたポルト。審判に対してこれほどまでに厳しい姿勢で嚙みつけば心象は悪くなるばかり。消化不良感の強い勝利だったとはいえ、責任の所在を審判に求めると、そのツケが後で回って来かねないが果たして……。
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