「まずは楽しむ気持ちがないと、美しいサッカーは見せられない」
F・マリノスのキーマンとなり、今シーズンはJ1得点王も視野に入る。マルコスは自分がサッカーを楽しむだけでなく、見ている人たちも楽しんでもらうことが重要だと考えている。それが今のゴールパフォーマンスにつながっていると彼は言う。
「サッカーで一番難しいのはゴールを決めることで、一番美しい瞬間もゴールなんだ。選手によってはゴールを決めたらすぐに戻って喜びもそれほど表さないけど、僕はその瞬間をサポーターと一緒に楽しみたい。ゴールを決めれば僕も嬉しいし、サポーターにも喜んでほしくて、みんなで喜べたらなと思ってパフォーマンスをしているんだよ」
マルコスのサッカー人生には様々な出会いがあり、多くの人に助けられてきた。サッカーの楽しさとともに常に全力を尽くすことの重要性を教えてくれた叔父のアレッサンドロ、プロ選手として生き残るための術を授けてくれた恩師のマルセロ、苦しい時も常に寄り添ってくれた妻のダイアネ、これまで一緒に戦って競争してきたチームメイトたち、日本で出会ったF・マリノスの仲間たち……。
そういった数々の出会いから手に入れたたくさんの宝物を両腕いっぱいに抱えて、マルコスは心の底からサッカーを楽しんでいる。そしてF・マリノスで目指すのは、サッカーを楽しみながらも勝利にこだわり、頂点に立つことだ。
「ゴールを決める、ラストパスを出す、そういう攻撃的なことを考えて、どんな形でもチームに貢献したい。優勝できるように頑張りたいし、それが今年の目標でもある。サッカー選手というのは未来がどうなるかわからないので、毎年を大事に考えていきたい。そのためには毎日を大事にすること。
『1日1日、ライオンを殺さないといけない』……ブラジルではそういう表現をするんだ。でも、まずは楽しむ気持ちがないと、美しいサッカーは見せられない。それが大事」
“ラランジェイラのクリリン”から“ハマのクリリン”になったマルコスは、これからも全力前進でゴールに向かって走り続ける。最後には待ち望んだ瞬間がやってくると信じて。
(取材・文:舩木渉)
マルコス・ジュニオール
1993年生まれ、ブラジリア連邦直轄区ガマ出身。フルミネンセユースを経て、2012 年にフルミネンセのトップチームに昇格し、プロデビュー。2019年に横浜F・マリノスへ移籍し、トップ下のレギュラーに定着。2019 年シーズンはリーグ戦13得点( 2019 年10月3日現在)をマークし、得点王争いのトップタイに君臨している。
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