ポルトのMF中島翔哉はファマリカン戦に79分から途中出場【写真:Getty Images】
【ポルト 3-0 ファマリカン リーガNOS第8節】
日本代表MF中島翔哉が所属するポルトが、今季初のリーグ首位に浮上した。
現地27日に行われたポルトガル1部リーグ第8節でファマリカンに3-0の快勝を収め、無敗の昇格クラブを引きずり下ろして順位表のトップを掴み取った。
試合後の記者会見でポルトを率いるセルジオ・コンセイソン監督は「我々は首位のチームと向き合った。対戦相手を研究し、彼らがリーグを引っ張っているのが偶然でないことを理解し、いい試合をするのは我々しだいでもあった。チームはいい働きをしたと思う」と、選手たちの奮闘をたたえた。
そして「守備面や、他のいくつかの細部において変更を加えた。それが勝つために重要だったと思う」と振り返った。
ポルトはシステムを普段の4-4-2から4-2-3-1に変更し、先発メンバーから不動の存在になっていたDFアレックス・テレスやFWムサ・マレガ、FWゼ・ルイスを外す決断を下した。24日に1-1で引き分けたヨーロッパリーグ(EL)グループリーグ第3節のレンジャーズ戦での低調ぶりを払拭するべく、フレッシュな選手たちにチャンスを与えた。
その采配が結果につながる。右サイドバックから最も得意とする右ウィングに戻り、MFヘスス・コロナはチャンスを量産。1トップに入ったFWチキーニョ・ソアレスは懸命に体を張り、右のDFチャンセル・ムベンバ、左のDFウィルソン・マナファと両サイドバックも堅実なプレーで攻守に奔走した。
戦術面でも低い位置から丁寧にビルドアップしようとするファマリカンに対し、ポルトは前線から積極的にプレスをかけていく。すると前半終了間際の45分、中盤でMFオターヴィオが相手の縦パスをカットしてショートカウンターを繰り出し、最後はコロナとのワンツーでゴール前に侵入したFWルイス・ディアスが待望の先制点を奪った。
後半になっても、ポルトの課題だった運動量の低下が見られない。さらに後半の72分には相手に安易な横パスをソアレスがカットし、単独突破を仕掛けて2点目。終盤の88分には途中出場の17歳FWファビオ・シルバが、相手GKにプレッシャーをかけてボールを奪い、ダメ押しの3点目を決めて勝利を確実にした。
ゴールはいずれも相手のビルドアップを狙った守備からのカウンター。まさにコンセイソン監督が意図した戦術がハマった会心の3ゴールだった。
「ファマリカンはビルドアップの最初の段階で6人の選手をうまく使い、そこから他のスペースを見つけて質の高い選手が問題を引き起こすため、プレスのかけ方を変えることが重要だった。今日の試合で見られた多くの組織的なプレーは、いい試合ができたことに関連している」
指揮官は誇らしげに試合の成果を振り返った。中島は79分から途中出場し、アレックス・テレスの攻め上がりを促すプレーでチャンスの起点になり何度か観客からの拍手を浴びた。
ファマリカン戦は首位浮上をかけた重要な一戦だったこともあり、ここでアピールに成功した選手たちがチーム内競争に影響を及ぼしていく可能性は大いにある。中島は十分に持てる力を発揮しきれたとは言えないが、首位に立ったチームとともに勢いをつけていきたいところだ。
【得点者】
45分 1-0 ルイス・ディアス(ポルト)
72分 2-0 チキーニョ・ソアレス(ポルト)
88分 3-0 ファビオ・シルバ(ポルト)
(取材・文:舩木渉【ポルトガル】)
【了】