ポルトに所属する日本代表MF中島翔哉【写真:Getty Images】
代表ウィーク明けの週末、ポルトガルではリーグ戦ではなくカップ戦が開催された。現地19日に行われたタッサ・デ・ポルトガル(ポルトガルカップ)の3回戦にポルトが登場し、3部のコインブロエスに5-0の貫禄勝ちを収めている。
ポルトのセルジオ・コンセイソン監督は格下相手の一戦に、普段出場機会の限られる選手たちを数多く起用した。中島翔哉はベンチスタートだったが、交代でも出番なし。後半途中からは負傷から復帰したばかりの面々が積極的に送り出された。
試合後、記者会見で「この試合で起用した選手たちは今後に向けてどれほど重要になっていくか?」と問われたコンセイソン監督は、コインブロエス戦での選手選考基準について明確に説明した。
「今日の先発メンバーのうち、今季の公式戦で全くプレーしていなかったのは(ママドゥ・)ルームだけだ。代表ウィークによる中断期間もあったが、その間に90%がチームを離れていた。よって管理しなければならないポジションがいくつかあった。例えばルイス・ディアスと中島翔哉が彼らの代表チームで出場した時間を見て、この試合におけるベストの戦略を選んだ。私はこの試合における最強のイレブンに賭けたんだよ」
確かにコロンビア代表に選ばれていたルイス・ディアスは、2試合で60分間のみのプレーで、移動もスペインとフランスと負担の少ない欧州圏内で済んでいた。一方、中島はモンゴル戦とタジキスタン戦の2試合で計153分プレーし、日本へ行ってから、タジキスタンを経由してポルトガルに戻る長距離移動があった。
ともにコインブロエス戦まで2回の練習しかできていない状況は同じだったが、中島に比べてルイス・ディアスの方が良好なコンディションだったことは想像に難くない。そしてルイス・ディアスは2ゴールを決めて大勝に貢献した。
コンセイソン監督は「選手に自信を与えるために試合で使うわけではない」と、あくまでコンディションを考慮した先発メンバーだったことを強調していた。これで中島の立場が悪くなったわけでは決してない。
ポルトには24日にヨーロッパリーグのレンジャース戦、27日にはファマリカンとのリーグ首位攻防戦が控えている。その後も厳しい連戦が続くため、中島にはより重要な試合で先発出場の機会が与えられるだろう。
(取材・文:舩木渉【ポルトガル】)
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