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吉田麻也、3-0勝利でもアジア予選の厳しさを実感「年々難しくなってきている」

text by 編集部 photo by Getty Images

吉田麻也
日本代表のDF吉田麻也【写真:Getty Images】

 日本代表は現地15日、2022年カタールワールドカップのアジア2次予選でタジキスタン代表に3-0の勝利を収めた。

 前半の日本はミスも多く、ホームに集まった2万人の大声援を受けて勢いづくタジキスタンに苦しめられた。キャプテンのDF吉田麻也は「つなぎもうまかったと思いますし、中盤の選手たちも非常にテクニックがあって、配球も良かったんじゃないかと思います」と、4-1-4-1で執拗に日本の弱点を突いてきた相手の力を認める。

 タジキスタンの選手たちは「明らかに僕らが芝に慣れていない」ことを理解し、高い強度で挑んできた。特に日本のダブルボランチの脇から、センターバックとサイドバックの間のスペースに走りこんでくる相手のアタッカーたちに何度も苦しめられ、その都度ギリギリの対応を強いられた。

「強さはないですけど、すばしっこさと、推進力はあったなと思います。ガチャガチャっとなったところで相手にボールがこぼれるシーンは多々ありましたし、それはやっぱりこの人工芝だからこそ起こりうることでもあったと思うんですけど、そこがうまくできなかったですね」

 ただ、吉田ら日本の選手たちは「後半までそのインテンシティが続かない」ことを頭に入れながら粘り強く戦い、前半を終えた時点で守備に修正を加える。幾度も厳しい戦いを乗り越えてきたキャプテンは「どの位置で中盤の選手がサイドバックとセンターバックの間に抜けてくるかで、受け渡すのか、ボランチがついていくのかをハーフタイムに確認しました」と明かした。

 やはりタジキスタンの選手たちはエンジン全開で臨んだ前半から打って変わり、後半は運動量が落ち、チーム全体の強度が下がった。「後半に仕留められればいいなと思っていたので、それはしっかり決められましたけど、苦しい時間に前線が点を取ってくれたのが大きかった」と吉田は語る。

 多くの選手が語っていた「グループの中で最も力のある相手」という見方は、その通りだった。特にアウェイでの戦いは一筋縄ではいかない。タジキスタンは日本を細部まで研究し、なんとか番狂わせを起こそうと高いモチベーションと強度で戦ってきていた。

 そのパワーをピッチ上で迎え撃った吉田は、「多くのチームが外国人監督を取り入れたりして、よりモダンなフットボールに近づきつつあるなと思います。もちろん強度が持続できないというところはあると思いますけど、年々難しくなっているなという感じがあります」と2次予選とはいえ、アジアの戦いの厳しさを改めて感じたようだ。

 それでも勝ったのは日本。11月にはアウェイでのキルギス戦が控えており、そこでも同様の難しい試合が予想される。もし勝ち点3をもぎ取ることができればグループ1位突破への道が大きく開ける一戦に向けて、吉田に一切の油断はない。

「人工芝だったり、アウェイでの中央アジア独特の難しさというのはこの2次予選にはつきもの。そこで勝ち点を積み上げることが大事なので、次の11月(のキルギス戦)もしっかり勝って、次勝てば先が見えてくると思うので、それまで気を緩めずにやっていくだけです」

 昨年11月に日本のホームで戦った親善試合では、キルギスに4-0で勝利を収めた。しかし、その後のアジアカップでキルギスが見せた姿は全く別物で、確かな実力を備えているのは間違いない。タジキスタン戦で味わったタフさを教訓に、万全の準備を整えていきたいところだ。

(取材・文:舩木渉【タジキスタン】)

【了】

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