久保建英は「知性が違う」
――浅野選手がヘディングで3-0としました。そして、久保選手が入ります。
ダバディ「サッカーにおける知性が違う。今のプレーで、センタリングを上げずにバックパスを狙うのはさすがです」
ヒマー「(アディショナルタイム3分は)短すぎますね」
ダバディ「90年イタリアワールドカップのバッジョだね。今のオフザボールの動きも凄い。フリーになるためではなく、味方のシュートコースを空けるためのクロスランでした」
――試合は3-0で日本代表が勝利を収めました。
ヒマー「個人技に偏る場面もありましたが、非常に落ち着いていました。アウェーの試合としては、ほぼ完璧な試合運びだったと思います。南野の2得点は、クロップ監督に見てほしいですね(笑)」
ダバディ「吉田選手の試合後のコメントは聡明でした。試合の内容は良くなかったけど、落ち着いて勝ちました。ただ、韓国やイラン、カタールとの対戦を想定すると物足りないですね」
ヒマー「韓国、イラン、カタールはまったく上のレベルです。今年のアジアカップは貴重な経験だった。ただ、日本もあれから強くなっていると思いますし、今は選択肢もたくさんあります」
ダバディ「今後は、久保選手中心のシステムを考えるべきか、森保監督のジレンマでしょうか。状況は90年のイタリア代表に似ています。久保選手を入れるなら、浅野や永井のように裏をとる選手や、相手DFを縦に引っ張る選手が欲しいです。久保と南野のコンビは今から育て上げるべきだと思うけど、どう?」
ヒマー「見たいですね。あの2人は優れている。」
ダバディ「カタール(ワールドカップ)は3年後ですから、ベテラン(長友)の意地、若手(久保)の野望も面白くなりそうです。さらに言えば、間にいる柴崎、中島、酒井宏樹はもっとリーダーになるべき」
ヒマー「本当にそう思います」
――今日もありがとうございました!
【了】
▽語り手
アラステア・ヒマー
英国の大学を卒業後に来日。1997年よりスポーツライター、編集者としての活動を開始。ロイター通信では12年以上に渡り、東京を拠点に特派員として活動。2014年にAFP通信社に移り、スポーツandライフスタイル特派員に。近年では、サッカーワールドカップ(2014年)、リオデジャネイロ五輪(2016年)など、主要国際大会も取材している。
フローラン・ダバディ
フランス、パリ生まれ。1998年、映画雑誌『PREMIERE』日本版のエディターとして来日。99年~02年まで、サッカー元日本代表トルシエ監督の通訳兼アシスタントを務めた。現在はスポーツジャーナリスト、WOWOWのテニス中継のナビゲーター、フランス大使館のイベントの制作に関わるなど幅広く活躍している。