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日本代表 5年前

久保建英、18歳で直面する2つの課題。中村俊輔や香川真司も経験した高いハードル

10日のモンゴル戦では、先発した伊東純也が3アシストをマークし、これまでレギュラーとして活躍してきた堂安律、久保建英が争う右サイドのポジション争いはさらに熾烈を極めることとなった。18歳の久保建英が飛躍の階段を上がるための課題はどこにあるのだろうか。(文:元川悦子)

text by 元川悦子 photo by Getty Images

久保建英が取り組むべき課題は少なくない

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日本代表の久保建英【写真:Getty Images】

 2022年カタールワールドカップアジア2次予選序盤戦のヤマ場となる15日のタジキスタン戦が迫ってきた。台風19号の影響で混乱している日本とは対照的に、現地は落ち着いた状況のようだ。「そんなに蒸し暑くないし、練習してみてやりやすい気候だった。問題ないと思います」と12日の初練習後に植田直通もコメントした様子で、選手たちの現地適応は確実に進んでいると見られる。

 10日のモンゴル戦前に「得点やアシストは全然期待してもらって大丈夫です」と自信をのぞかせながら、出番なしに終わった久保建英も「次こそは」という思いを強めているはずだ。今季UEFAチャンピオンズリーグ(CL)参戦中のスピードスター・伊東純也が強烈なインパクトを残したことで、右サイドの序列がやや下がった印象もあるが、ここから巻き返さなければ、出場機会増、レギュラー定着への道は開けてこない、そのためにも取り組まなければいけない課題は少なくない。

 その筆頭が、攻守両面での強度を上げることだ。森保一監督も指摘している通り、特に守備面の寄せや球際の迫力はまだまだ物足りなさが見て取れる。レアル・マドリーからレンタル移籍しているマジョルカで9月以降は出番が増加しているものの、屈強な黒人選手などと対峙するとボールを奪われたり、マークに行って振り切られたりと、局面局面で負けているシーンがしばしば見受けられる。

 まだ成長期が完全に終わっていない18歳のプレーヤーに世界トップレベルのインテンシティーを求めること自体が酷なのかもしれないが、リーガ・エスパニョーラでコンスタントに活躍し、日本代表でもスタメンを張ろうと思うなら、その領域を目指すしかない。

 日頃、厳しいことを言わない森保監督があえてメディアの前で要求を突きつけたのも、大きな期待があってこそ。そこを本人も理解したうえで、いかにして指揮官の基準に達するかを真剣に考える必要がある。

攻撃面での課題

 攻撃面に関しても、1対1の仕掛けやドリブル突破がJリーグ時代ほどはうまくできていない印象がある。マジョルカでは右サイドか左サイドでプレーしていて、大きくスペースが空いていたり、相手の寄せが遅れた時はゴールに直結する仕事を見せるのだが、接近戦の時は苦労している様子。それも対人の強度の問題だろう。この部分ばかりは試合をこなして慣れていくしかないが、適応速度を上げる努力をより一層、払うことも肝要と言える。

 こういった課題を克服しなければ、日本代表で定位置を確保するのはやはり難しい。モンゴル戦で伊東が見せたスピードと運動量、相手と対峙した時の迫力、敵を吹っ飛ばして前線へ出ていく堂安の凄まじいパワーを目の当たりにすれば、本人も自分自身がやらなければいけないことは分かるはず。森保ジャパンでは主に左サイドで使われている原口元気も、2018年ロシアワールドカップで実証した通り、右サイドを十分にこなせる。

 彼ら3人からポジションを奪うのは、18歳の久保にとっては非常に高いハードルと言わざるを得ない。それを再認識したうえで、直近のタジキスタン戦にどう挑むかを熟考していくべきだろう。

「自分だけじゃなく、誰しもが頭から出るためにやってると思います。でも自分はどうだこうだと言うつもりはないですし、監督の決定が全て。自分だけじゃなくてチャンスをもらった選手が最低限のプレーをできるようにみんなしっかりコンディションを整えてると思うんで、誰が出ようが最高のサッカーできるのかなと思います」

香川や俊輔も通った道

 モンゴル戦前に代表合流した際、久保は「フォア・ザ・チーム精神」を最優先にしていると明かしたが、確かに最年少プレーヤーはそういうスタンスが大切だ。過去を振り返っても、中村俊輔も98年フランスワールドカップ前に代表合宿に初招集された19歳の時、ホぺイロとともに水や道具を運びながら、山口素弘や名波浩、中田英寿ら中盤の先輩たちの一挙手一投足を見て学んでいたし、2008年に平成初の代表選手となった香川真司も2010年南アフリカワールドカップまでは中村俊輔や中村憲剛、本田圭佑ら先輩たちの壁に阻まれながら、自己研鑽に励んでいた。

 このように若いスターが10代のうちから順調なステップを踏んで代表の看板選手になった例は皆無に等しい。だからこそ、久保も今はチームの勝利を第一に考えつつ、他の選手たちのプレーを見て学び、課題を克服することに努めなければならない。そういう時間の積み重ねがいつか結果になって表れる時は来る。試合に出られない状況がしばらく続いたとしても、今は焦らずに一歩一歩前進することを心掛けるしかない。

 タジキスタン戦もいつ出場機会が訪れるか分からないが、チャンスが巡ってきた時に課題と言われる強度を少しでも上げ、守備面でのタフさを見せること。そんな久保の前進を見てみたい。

(文:元川悦子)

【了】

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