日本代表のDF吉田麻也【写真:Getty Images】
日本代表は現地13日、タジキスタンの首都ドゥシャンベ市内で非公開練習を行なった。
ちょうど練習と同じ時間帯に、日本ではラグビー日本代表が新たな歴史を作っていた。ラグビーワールドカップのプールA第4戦で、世界的な強豪スコットランド代表にリードを奪って勝利目前に迫っていた。
サッカー日本代表のDF吉田麻也は「今まで全部見ていたのに…」と、ラグビーの日本戦を見られないことを悔やんでいた。普段生活しているイングランドはサッカーのみならず、ラグビー発祥の国でもあり、強豪国でもある。「みんな見ているから、それに影響されて僕も見ちゃっている」と吉田もラグビーにハマった。
「いろいろなプレッシャーがある中で結果をしっかり出すというのは簡単なことではないだろうし、スコットランドやアイルランドという強豪が(同じプールに)入っている中で、1位突破できたらとてつもないことだと思いますよ」
ラグビー日本代表はスコットランドから4つのトライを奪い、28-21で歴史的な勝利を収めた。そしてプールAを全勝の首位で突破し、ベスト8進出も決めている。自国開催でワールドカップを戦い、前人未到の領域に到達するためには尋常ではない重圧を乗り越えなければならないこと、一方で国を背負って戦う難しさや楽しさがあることを、吉田は同じアスリートだからこそ理解している。
「プレッシャーは僕らが想像できないくらいだろうし、やっぱりそうやって大国に勝つということは、それだけの準備と、僕らの目には映らないたくさんの努力があるんだろうなということは同じアスリートとして理解できるので、素晴らしいなと思います」
ラグビーワールドカップやサッカーのFIFAワールドカップは日本が世界の強豪に挑む立場になる。だが、サッカーにおいて「アジア予選」ではアジアの他の国が“挑戦者”として、何とか日本を相手に一矢報いてやろう、勝って一泡吹かせてやろうと襲いかかってくる。
吉田は言う。
「どの国もアジアで戦う時は日本とやるのを楽しみにしているし、日本を負かしてやろうとチャレンジャーの気持ちで戦いを挑んでくるので、僕らはそれで受け身にならず、僕らが持っているものを最大限に出して、当たり前のように勝つ、当たり前のようにいいパフォーマンスをすることが求められていると思います」
15日に2022年カタールワールドカップのアジア2次予選で対戦するタジキスタン代表も、ホームで日本に勝利すべく万全の準備を整えてくるだろう。そのパワーを跳ね返し、日本の力を示せるか。
ラグビーから刺激を受けた吉田は「なぜ自分が選ばれているのか、なぜ3回目の(ワールドカップ)予選を戦っているかをチーム内外に示さないといけないのは当たり前」の精神で、サムライブルーのゴール前に大きな壁となって立ちはだかる。
(取材・文:舩木渉【タジキスタン】)
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