フローニンゲンの主力に定着した板倉滉【写真:Getty Images】
フローニンゲンは現地4日、オランダ1部リーグ第9節でRKCワールワイクに3-0の快勝を収めた。
日本代表の板倉滉はフローニンゲンのセンターバックとして先発フル出場し、完封勝利に大きく貢献した。しかし、「少し悔しさが残った試合」と自身のパフォーマンスに納得がいかないようだった。
「ああいう競り合いのところで今日の勝率は全然良くなかったし、先に自分の前で触られていた部分があった。まずは1対1の勝負に自分はこだわってやっていきたいという思いはあります」
対戦相手のRKCワールワイクは丁寧にビルドアップを試みながら、時折フローニンゲンのディフェンスラインの裏を狙うようなロングパスも出してきた。スタンドからは大柄でパワフルな相手ストライカーと互角の勝負を演じていたように見えたが、板倉本人の感じ方は違い、チームに戦術の変更を強いてしまったことを悔やんでいた。
「相手がヘディングに強いからこそ、ボランチにそこを競らせて、自分が1個後ろからという形を途中から取りましたけど、そういうやり方は正直したくないというか。せざるを得ない状況でしたけど、まずは1対1にこだわってやっているので、そこは少し悔しさが残った試合でした」
とはいえ日々欧州でも屈指のリーグでピッチに立ち、PSVやアヤックスのような強豪クラブの選手たちと直接肌を合わせられることより、「いろいろな強さを持った相手とできているというのは、すごく自分にとってはいいこと」と板倉はオランダでポジティブな成果をたくさん獲得している。
この後は国際Aマッチウィークに入るため、板倉も日本代表に合流する。9月シリーズでは短い時間しかプレーできず、アピールが不十分な自分は「(10月は)入れない可能性もあるだろうなと思っていた」と明かす。
しかし、再び招集メンバー入りを果たしたことによって「サッカー選手は誰もが目指しているところだと思うので、そこに呼んでもらえているということはすごく嬉しい」と板倉は意欲にあふれている。
「危機感」をしきりに口にした背番号17は「(ワールドカップ予選の)プレッシャーももちろんあると思うけど、もちろんそこで自分はスタメンを取る気でやるし、上の人関係なくガツガツやるつもりではいます」とアピールに燃えている。
日本代表は今月、10日にカタールワールドカップのアジア2次予選でホームのモンゴル代表戦、15日にはアウェイでのタジキスタン代表戦に挑む。「(ワールドカップ予選は)簡単じゃないなと実際に行って感じたので、次は自分がピッチに立って勝ちをもぎとれれば最高だなと思います」と板倉は次なる戦いに頭を切り替えていた。
RKCワールワイク戦後には、スタンドから「イタクラ!」コールが巻き起こり、本人も「初めてだったので嬉しい」と笑顔に。フローニンゲンでチームやファンからの信頼を確たるものにしつつある板倉は、次に日本代表でのポジション奪取に挑む。
(取材・文:舩木渉【オランダ】)
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