ポルトのMF中島翔哉はリーグカップのサンタ・クララ戦で初アシスト【写真:Getty Images】
中島翔哉は今後への大きなきっかけをつかんだかもしれない。ポルトは現地時間25日、タッサ・ダ・リーガ(リーグカップ)の3次ラウンド・グループリーグ第1節でサンタ・クララに1-0の完封勝利を収めた。
直近のリーグ戦から先発メンバーを9人入れ替え、これまで出場機会が限定されていた選手たちを多く起用したポルト。中島も8月半ばのチャンピオンズリーグ(CL)予選3回戦2ndレグのクラスノダール戦以来となる先発出場を果たした。
そして結果も残した。前半アディショナルタイムの47分、自らが獲得したフリーキックからの流れで左サイドへ動き出し、左サイドバックのアレックス・テレスから縦パスを受けるとドリブル開始。目の前のディフェンスを切り返しで剥がし、右足の高速クロスでDFジオゴ・レイチの先制ゴールをアシストした。
結果的に中島のドンピシャクロスから生まれたゴールが決勝点となり、ポルトは公式戦7連勝で波に乗る。後半には華麗なターンと高速フェイントで相手ディフェンスを置き去りにした背番号10のプレーに、ホームのポルトサポーターがどよめく一幕もあった。
ポルトを率いるセルジオ・コンセイソン監督は個人への言及を避けたがるタイプのため、試合後の記者会見で誰かを特別に称賛することはなかった。しかし、このサンタ・クララ戦で中島に求めていた役割について次のように語っている。
「私は中島とロマーリオ・バロに(中盤とディフェンスの)ライン間で、中央のレーンに数的優位な状況を作って欲しいと考えていた。サンタ・クララはこのスペースをうまく塞いでいたため難しかった。常に相手に迷いを与えたFWたちの働きは重要だった」
これまでのリーグ戦でのポルトは、左に直線的な突破力が武器のFWルイス・ディアスを配し、右には全方位に幅広く動き回るFWオターヴィオを起用して左右のバランスを崩した形で戦ってきた。
しかし、今回のサンタ・クララ戦ではビルドアップ時に2人のセントラルMFのうち一方がディフェンスラインに入って、DFぺぺやDFジオゴ・レイチとともに3バックのような形を形成。それにともない両サイドバックを高い位置に上げることで、2トップの背後にいる2列目の中島とロマーリオ・バロは内側に絞ったポジショニングからボールに絡み、チャンスメイクしていった。
中島は相手のライン間にできるスペースを起点に幅広く動き回ってボールを引き出し、攻守にわたってアグレッシブな動きを披露。そして相手の集中力が一瞬途切れた隙を見逃さず、アシストという結果も出した。
サイドからのクロスに長身でパワフルな2トップが飛び込む得点パターンを軸にしてきたポルトにとって、中島のインサイドでのプレーはポルトの今後に向けた重要なオプションになっていくかもしれない。
(取材・文:舩木渉【ポルトガル】)
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