「ロベリー」なきバイエルン、8連覇への道のりは…
ブンデスリーガ7連覇の偉業は、ユップ・ハインケス、ペップ・グアルディオラ、カルロ・アンチェロッティ、ニコ・コバチの4人の指揮官のもとで成し遂げられた。しかし、ニコ・コバチが就任した昨シーズンは、ボルシア・ドルトムントが首位を走る時期が続き、終盤になんとか逆転してのタイトルだった。
7連覇を経験したメンバーは数えるほどしかいない。フィリップ・ラームやシャビ・アロンソ、そして今夏はアリエン・ロッベンがユニフォームを脱いだ。さらにフランク・リベリーも退団し、チームは世代交代の必要に迫られた。
ロベリーが抜けた前線にはインテルからイバン・ペリシッチを加えた。絶対的エースのロベルト・レバンドフスキ、トーマス・ミュラーを中心に、若いセルジ・ニャブリ、キングスレイ・コマンが控えている。国内では計算できるメンバーが揃うが、欧州の舞台ではどうだろうか。若い両ウイングのブレイクスルーがなければ、欧州で成績を残すことは難しいだろう。
7連覇を成し遂げた最初の5年間は20失点前後と強固な守備陣を構築していたものの、直近2シーズンは28、32と失点数が増加。ここまでチームを支えてきたジェローム・ボアテングとマッツ・フンメルスのパフォーマンスにも陰りが出てきた。
そこで、昨夏にフランス代表をワールドカップ優勝に導いたリュカ・エルナンデスと、ベンジャミン・パバールを獲得。CBとSBをこなせるフランス代表2人は、両SBのダビド・アラバ、ヨシュア・キミッヒと併用できるだけでなく、CBのニコラス・ズーレの相棒役としても起用が可能となった。
昨シーズンにパフォーマンスを落としたマッツ・フンメルスは、古巣のドルトムントに復帰。さらにバックアッパーとして重宝されてきたDFラフィーニャは契約満了に伴い、母国のクラブへと移籍した。ベテラン2人に代わって、20代前半の2人が加入したことで、世代交代が実現した。
中盤の顔ぶれは大きく変わらないが、ハメス・ロドリゲスが所属元に戻った代わりに、フィリッペ・コウチーニョが期限付きで加入。バルセロナでは思うような活躍ができなかったブラジル代表MFが、ドイツで輝きを取り戻せるかに注目が集まる。
ドルトムントは、フンメルスだけでなく、トルガン・アザールらを獲得するなど、積極的な補強を敢行。ライプツィヒはユリアン・ナーゲルスマンを指揮官に迎え、昨シーズンより熾烈な優勝争いが繰り広げられるだろう。それに加えて、7シーズンぶりの欧州制覇への道のりは険しいと言えるだろう。
補強・総合力評価
IN
DF ラース・ルーカス・マイ(バイエルン・ミュンヘンⅡ)
DF マルコ・フリードル(ヴェルタ―・ブレーメン)
DF リュカ・エルナンデス(アトレティコ・マドリー)
DF ベンジャミン・パバール(シュトゥットガルト)
MF フィリッペ・コウチーニョ(バルセロナ/期限付き移籍)
MF ミカエル・キュイザンス(ボルシア・メンヒェングラートバッハ)
FW イバン・ペリシッチ(インテル/期限付き移籍)
OUT
DF マッツ・フンメルス(ボルシア・ドルトムント)
DF ラフィーニャ(フラメンゴ)
MF ハメス・ロドリゲス(レアル・マドリー/期限付き移籍満了)
MF レナト・サンチェス(リール)
FW フランク・リベリー(フィオレンティーナ)
FW アリエン・ロッベン(引退)
FW フィーテ・アルプ(ハンブルガーSV)
補強評価:C
2人の若きフランス代表DF獲得により、DFラインは強化された。しかし、チームの顔だったリベリーとロッベンに代わる攻撃陣の軸は誰になるのかが不透明。レバンドフスキ、ミュラーに加えて、若いアタッカー陣の飛躍が、タイトル獲得のカギを握るだろう。
総合評価:A
ブンデスリーガにおいては、優勝候補の再有翼であることは間違いない。ただ、欧州の覇権を奪還するためには、新たなスターが必要になるだろう。