ポルトの中島翔哉(左)とポルティモネンセの安西幸輝(右)がピッチ上でマッチアップ【写真:Getty Images, 舩木渉】
東京ヴェルディユースから巣立った2人のサムライが、ポルトガル1部リーグのピッチ上で対面した。現地15日に行われた第5節、ポルティモネンセ対ポルトの72分から、試合終了までの約26分間のことだ。
右サイドバックで先発起用されたポルティモネンセの安西幸輝に対し、72分に途中出場した中島翔哉はポルトの左サイドMFの位置に入った。直接1対1をするような機会はほとんどなかったが、中島が鋭いスライディングで安西からボールを奪うなど、2人が近い距離で絡む場面は何度かあった。
試合は前半でポルトが2点のリードを奪ったが、後半に巻き返したポルティモネンセに安西のゴールで追いつかれてしまう。だが、最後の最後で後半アディショナルタイムの98分にコーナーキックからDFイバン・マルカノのヘディングシュートが決まり3-2に。勝利の女神はポルトに微笑んだ。
中島とのマッチアップについて、試合後の安西は「すごく嬉しかったですし、こういう日本じゃなくて、海外でマッチアップするというのはまた違う気持ちが湧いてくる」と感慨深げだった。
東京ヴェルディユースで中島の1学年後輩にあたる安西は2018年に鹿島アントラーズ移籍でJ1に初挑戦。一方、中島は2017年8月にFC東京からポルティモネンセへ移籍したため、すれ違いでJリーグでの対戦はなかった。日本代表でもチームメイトのため、2人が公式戦で対戦相手として同じピッチに立つというのは、これまでにないことだったのである。
だからこそ、安西は「スタメンで出てくれないかなって、代表が終わってからずっと思っていた」し、「途中からでもやっぱり嬉しかった」。そして「もうちょっとバチバチやりたかった」とも感じた。
中島の投入後すぐにポルティモネンセの1点目が決まり、ポルトにとっては流れが悪い時間帯だった。直後には安西の初ゴールが生まれて2-2の同点となる難しい状況だったたけに、「今回は僕の方が勢いがあった」と後輩は25分あまりの対戦を振り返った。
試合後にもお互いに言葉を交わし、安西は「僕は上に行きたいという一心でやっているので、早く追いつけるように頑張りたい」と決意を新たにしていた。リーグ後半戦で再戦なるか。その時に今回以上の白熱した「バチバチ」のマッチアップが見られることを期待したい。
(取材・文:舩木渉【ポルトガル】)
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