23名のうち19名が海外組
日本代表の森保一監督は9月5日のパラグアイ戦および10日のカタールワールドカップ・アジア二次予選のミャンマー戦に向けた23人のメンバーを発表した。19人が欧州組という陣容で、吉田麻也が復帰し、U-22世代が中心だったコパ・アメリカ2019(南米選手権)から板倉滉が選出となった。
久保建英も引き続き招集され、U-22世代のA代表組は冨安健洋、堂安律、久保、板倉の4人となっている。前回のキリンチャレンジカップでA代表だったGKの大迫敬介は北米遠征を行うU-22代表のメンバーに入った。
「ミャンマー戦ではもちろん勝利を目指しながら、チームで意思統一して臨みたい」と森保監督。ロシアワールドカップ後の就任から1年間アジアカップやコパ・アメリカを戦ってきた。今回は予選のスタートということで、怪我明けのDF昌子源が外れるなど、選手のコンディションも考慮しながら、およそ現在考えられるA代表のベストメンバーを招集したと見られる。
今夏にFC東京からレアル・マドリーに移籍し、さらに同じスペイン1部のマジョルカに期限付きで移籍して間もない久保建英、フローニンヘンからオランダの強豪PSVへの移籍が決まったばかりの堂安律など、新しい環境での適応が必要な選手は招集しない方が良かったのではという意見もある。
しかし、森保監督は「毎回長距離の移動、気候も違う、クラブでの立ち位置を失うかもしれないリスクを背負って日本代表で戦うために集まってくれている」と認識した上でアジアの戦いに、世界を相手にするのと変わらず厳しい姿勢で臨みたい構えを今回の招集でも表しているようだ。
カタールW杯へのベースはこのメンバー?
前回の二次予選は2015年の6月に初戦が行われたが、この時はハビエル・アギーレ氏が八百長疑惑の影響を受けて、アジアカップ後に契約を解除し、ヴァイッド・ハリルホジッチ氏が3月に就任してから3ヶ月だったこともあり、今回とは多少事情が異なるが、当時のベストと想定されるメンバーで臨んだことに変わりはない。
リオ五輪の直後、三次予選の初戦となった2016年9月のメンバーは24人が招集された。さらにけが人による追加招集で3人が招集されたが、17人が二次予選の初戦メンバーから引き継がれた。その中には大迫勇也のように一度外れて、途中で復帰して不可欠な存在になるケースもあるが、1年間で約4分の1程度の入れ替えがあった。
そして2018年6月に開幕したロシアW杯の本大会はハリルホジッチ氏の電撃解任により、技術委員長だった西野朗前監督がチームを率いることとなったが、メンバーはほぼ前体制から踏襲された。最終メンバーに選ばれた23人のうち二次予選の初戦に招集されていたのは以下の選手たちだった。
GK川島永嗣、東口順昭
DF長友佑都、槙野智章、吉田麻也、酒井宏樹、酒井高徳
MF長谷部誠、香川真司、山口蛍、原口元気、柴崎岳、本田圭佑
FW大迫勇也、岡崎慎司、宇佐美貴史、武藤嘉紀
つまり23人のうち17人の選手が2015年の二次予選初戦から三次予選を経て、本大会まで残ったメンバーということになる。興味深いのは2016年から2018年にかけて、ほとんど入れ替わりが無かったことだ。
今回は同時期に北米遠征を行うU-22日本代表のメンバーも発表し、Jリーグで活躍する若手を中心に選出された。その中から「一人でも多くA代表に入ってきて欲しい」と森保監督は語ったが、3年後のカタールW杯に向け二つのアジア予選を戦って行くA代表のベースは今回のメンバーということになる。
ただ、森保監督も「まだまだ招集し切れてない選手も多数いると思っている」と語るように、U-22世代に限らず、国内外に目立った活躍を見せながら招集にかかっていない選手もおり、また環境の変化によって目覚ましい成長を見せる選手も出てくるはず。
しかしながら“森保ジャパン”のベースとなるべき今回のメンバーにはパラグアイ戦、そして二次予選の第一歩になるミャンマー戦と、しっかりとした内容と結果で資質を示してほしいものだ。
(取材・文:河治良幸)
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