日本代表にもはや香川真司の居場所はないのか【写真:Getty Images】
日本代表の森保一監督は30日、来月5日の国際親善試合パラグアイ戦とカタールワールドカップアジア2次予選のミャンマー戦に向けた招集メンバー発表会見に臨んだ。
リストの中に真新しい名前はない。だが、23人の招集メンバーのうち実に19人を海外組が占めた。国際Aマッチウィーク中にYBCルヴァンカップの準々決勝が組まれているJリーグクラブの事情もあるとはいえ、国内組の招集はわずか4人にとどまっている。
森保監督は「ヨーロッパのサッカーのマーケットで日本人がより多く評価されて、その土地でチャレンジしていることは選手たちの努力の賜物だと思いますし、選手たちを頼もしく思っています」と、海外でプレーする選手の増加を喜んでいた。
ところが、これだけ多くの海外組が招集される中でMF香川真司とMF乾貴士の名前はリストの中になかった。2人ともこの夏に移籍したばかりで、チーム内での立ち位置などを考慮されたのであれば招集回避も理解できるが、同様の状況に置かれながら招集された海外組の選手が多くいるのである。
例えばフローニンゲンからPSVアイントホーフェンに移籍し、まだ新天地で試合出場のないMF堂安律。またレアル・マドリーからマジョルカへの期限付き移籍が決まった久保建英などは、香川らと同様に新しいクラブでの挑戦を始めたばかりだ。
そういったクラブ内での立ち位置が微妙で、不在の間に居場所を失うリスクを負って招集した選手たちについて森保監督も「まずはコンディションの部分でしっかりとチェックをしなければいけない。プレーできる状態なのかどうなのか、パフォーマンスをしっかり発揮できるのかというところは確認しなければいけないところ」と記者会見の中で述べていた。
個別の事情にも言及している。久保については「6月のキリンチャレンジカップやコパ・アメリカというレベルの高い大会の中で彼がプレーして、彼自身のプレーのクオリティが代表選手として戦力になるということで今回も招集させてもらいました」と選考理由を明かした。
そのうえで「現在のコンディションは試合だけで見ると十分ではないかもしれませんが、プレシーズンのところからレアル・マドリーのプレシーズンマッチに出ている様子はチェックしていますし、今現在もトレーニングはしっかり積めていると。少し前の状態では90分の試合も経験しているということで、コンディション的には問題ないだろうと。あと本人のメンタルの部分でも充実しているということを確認した上で招集しています」と語っている。
堂安については「(PSVで)試合はプレーしていないところはあると思いますが、オランダリーグが開幕してそこからは(フローニンゲンで)フルに戦っているところは確認できていますし、本人のコンディションも落ちていないということをチェックしながら招集しています」と述べた。
彼らは現時点で公式戦から遠ざかっている状況にある。それでも実力とメンタル面も含めたコンディションを勘案したうえで招集に踏み切っている。だが、すでに移籍してからリーグ戦に2試合出場してサラゴサで躍動する香川、リーグ戦出場こそないものの勝手知ったるエイバルに戻った乾の招集は見送られている。
日本サッカー協会は今月、5人のスタッフを欧州に派遣して選手たちを直接視察している。さらに国内でも「すべての選手の映像を手に入れることができますので、毎節選手のプレーをチェックしています」と、森保監督をはじめ複数のスタッフで分担して候補になりうる選手たちのプレーを確認していながら、香川や乾は選外になったのである。
森保監督は「毎回招集が約束されている選手は1人もいない」と述べ、「これまでも私が代表監督になってから招集させてもらった選手全てが、これからの戦いでの選考の対象だと思いますし、これまで私がA代表の監督になって招集してきていなくても日本代表として戦えるだけの可能性を見せてくれる選手はまだまだいますので、今回の活動はこのメンバーになりましたが、次回の活動になった場合、また選手が変わっていくこともあり得ることだと思います」と可能性の扉は閉ざしていない。
それでも香川や乾の日本代表での立場が厳しくなったのは間違いなさそうだ。彼らの時代は終わり、より若い世代に取って代わられてしまうのだろうか。
【了】