若手中心に積極補強。CL権獲得は?
今季からミランを率いるマルコ・ジャンパオロ監督【写真:Getty Images】
ジェンナーロ・ガットゥーゾ監督の下で昨シーズンを戦ったミランは、最後の最後までチャンピオンズリーグ(CL)出場権争いに食い込みながらも5位でフィニッシュし、またも欧州最高峰の舞台への切符を逃す形となった。
結果的に稼いだ勝ち点は「68」。これは過去5シーズンを振り返ってみても最も良い数字となっている。にもかかわらず、CL出場権を逃したという厳しい現実を、ミランは突きつけられることになった。
さらにFFP(ファイナンシャル・フェアプレー)違反により、UEFA(欧州サッカー連盟)から訴訟を受けていたミランは、欧州カップ戦における1年間の出場禁止処分を「自発的に」受け入れたことで、今季のヨーロッパリーグ(EL)へは不参加となることが決まった。長く暗いトンネルから抜け出せずにいるミランにとっては、これも厳しい現実となった。
だが、ポジティブに捉えれば、リーグ戦に集中することができる。もちろんミランのようなクラブが欧州のカップ戦で姿を見せないというのは寂しい気もある。が、EL不参加が決まった以上は、2013/14シーズン以来となるチャンピオンズリーグ(CL)への出場に向けて集中すべきではないだろうか。
そんな今季へ向け、ミランは再び夏に積極的な補強を敢行。新テクニカルディレクターに就任したパオロ・マルディーニは基本的に若手を中心にターゲットを定めた。FWラファエル・レオン(20歳)、MFイスマエル・ベナセル(21歳)、MFラデ・クルニッチ(25歳)、DFテオ・エルナンデス(21歳)、DFレオ・ドゥアルチ(23歳)。ここまでミランが獲得を決めた選手を見てみても、そのあたりの狙いは明らかとなっている。彼らがミランで実力を発揮できれば、今季のみならず来季以降も戦力となることを見込んでの補強ということだろう。
そんな若手選手中心のミランを束ねるのが、サンプドリアからやってきたマルコ・ジャンパオロ。ミランの復権を託されたイタリア人指揮官は主に4-3-1-2のシステムを好んでいて、それをミランでも適用する考えのようだ。基本的にはポゼッションを重視しており、狭いスペースにも躊躇せず縦パスを放り込んでいくスタイルをベースとしてやっていくことが濃厚だ。
すでにプレシーズンマッチでもそうした新しい「色」は出ていたが、リーグ戦では果たしてどこまで通用するか。またも新しい指揮官の下、スタートを切ることになったミランだが、今度こそは花を咲かせたい。
若手の奮闘が上位進出へのカギ
ローマの新指揮官に就任したパウロ・フォンセカ【写真:Getty Images】
GKアリソン、MFラジャ・ナインゴラン、MFケビン・ストロートマンら主力を大量に放出した昨季のローマは苦しい1年を過ごした。開幕節のトリノ戦こそ勝利したものの、その後いきなり4試合連続未勝利となったローマは、安定して勝ち点を伸ばせずにいた。ついにはシーズン途中にエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督が解任。後任にはクラウディオ・ラニエリが就いたが、目標であったチャンピオンズリーグ(CL)出場権には届かず、6位でシーズンを終えている。結局ローマは昨季、一度も4位以内に入り込むことができなかったのである。
迎える今季、ローマの下馬評は決して高くはないだろう。守備の要であったDFコスタス・マノラスやFWステファン・エル・シャーラウィなど、今年の夏も多くの主力選手がクラブを去った。中でもMFダニエレ・デ・ロッシの退団はローマにとってはかなり痛いものとなるはず。下部組織から同クラブ一筋であった元イタリア代表MFのような絶対的リーダーの不在は、ローマに決して小さくはない影響を及ぼすことになるかもしれない。
楽しみなポイントを挙げるとすれば、若手の奮闘だろうか。昨季ブレイクしたMFニコロ・ザニオーロやFWジャスティン・クライファート、FWジェンギス・ウンデルといった選手はすでにローマで主力としてプレーしているが、今季は彼らのような20代前半の選手にさらなる活躍を求められるはず。新加入したMFアマドゥ・ディアワラなども楽しみな存在で、どこまでチームにフィットできるかに期待がかかる。若手が爆発すれば、昨季より上の順位でリーグ戦を終わらせることは可能となるだろう。
そんなチームを率いるのはパウロ・フォンセカ監督。46歳のポルトガル人指揮官はかつてシャフタール・ドネツクで国内二冠達成の経験があるなど確かな実績を持っている。これまでは主にポルトガルのクラブを中心に指導してきたフォンセカ監督は、いわゆる4大リーグでの指揮は初のことになるが、果たしてどこまでチームを引き上げられるか。その手腕が注目される。