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ネイマール、移籍へ向けての『Xデー』とは? 冷え切るPSGとの関係、カギを握る同胞FWの存在

ブラジル代表のFWネイマールがここ最近の移籍市場を賑わせている。パリ・サンジェルマン退団を決意したとの報道も出ており、レアル・マドリーやバルセロナへの加入が噂されており、今後の動向に大きな注目が集まっている。しかし、未だ具体的な動きは見受けられない。果たしてブラジルの至宝は一体、どのような結末を迎えるのか。(文:小川由紀子【フランス】)

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

『ネイマール、失せろ』

パリ・サンジェルマン
リーグ・アン開幕節で掲げられた『ネイマール、失せろ』という残酷な横断幕【写真:Getty Images】

 2人は、エッフェル塔の前で永遠の愛を誓い合った…。しかし男は元カノを忘れることができず、何かにつけて新妻と比べては、元カノを恋しがった…。徐々に2人の間の溝は深まり、いつしか修復不能になっていたのだった…。

 巷で聞くようなストーリーだが、ここで愛を誓い合ったのは、パリ・サンジェルマン(PSG)と、元カノ=バルセロナを忘れられないでいるネイマールだ。けっこういくつかのフランスメディアが、PSGとネイマールの関係を、こんなふうに恋愛や結婚にたとえているのを見た。さすがはアムールの国である…。

 そしていま、両者、とくにPSGサポーターとネイマールの関係は冷え切っている。8月11日、リーグアン開幕を迎えたパルク・デ・プランスのスタンドには、『ネイマール、失せろ』という残酷な横断幕まで掲げられた。

 ネイマールはこの開幕戦、ニーム戦にはメンバー入りしていなかったが、スポーツ・ダイレクターのレオナルドによれば、移籍問題にカタがつき、はっきりと残留が決まるまではプレーさせない方針であるらしい。

 その気になる去就だが、先週の時点では、なんだかんだ言ってネイマールは残留、という空気が濃かった。しかし週末から新たな動きが見られている。まずレオナルドが、「具体的な話し合いはある」と認めたこと。

 すると日曜にはかねてから噂のあったレアル・マドリーこそが大本命であるという話が浮上した。

レアルかバルサか

 マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長がネイマール贔屓なのはいまに始まったことではない。ジネディーヌ・ジダン監督の求める選手リストにはないが、会長が「レアルの威信をかけて」獲得を推進するという。そもそも会長は、ネイマールがブラジルを出てヨーロッパに来たときも獲得を望んでいた。

 そうしてマドリー獲得で一歩前進か? と思われた矢先、2年前のPSGへの移籍にもかかわった弁護士のフアン・デ・ディオス・クレスポ氏がカンプ・ノウのオフィスに入っていく姿が目撃された。噂レベルでしかなかったバルセロナとPSG間の具体的な動きが確認された瞬間だった。

 続いてスペインメディアRAC1が、バルセロナの代表団がパリ入りすると報じた。レオナルドと直接話し合いをするためであるという。

https://twitter.com/rac1/status/1161171257284583426

 そして実際、スポーツ・ダイレクターのエリック・アビダルとフロント陣が12日の火曜にパリ入りした。

 バルセロナが提示している条件として以前から報じられているのは、移籍金6000~7000万ユーロ+フィリッペ・コウチーニョだ。コウチーニョの価値をバルサはおよそ1億2000万ユーロ(約141億円)と見積もっていて、移籍金と合わせてPSG側に1億8000万(約212億円)~2億ユーロ(約235億円)、というディールである。

 しかし、その額では2年前にPSGがバルセロナに支払った2億2200万ユーロ(約259億円)から目減りした形になる。しかも金銭での取り分が少ないため、親方カタール勢は「できるだけ高い金額で。でなければ残留」とレオナルドに指示しているらしいが、ここへきて、バイエルン・ミュンヘンがコウチーニョ獲得を狙っているというニュースも飛び出した。

『Xデー』はいつ?

ネイマール
果たしてネイマールの今後はどうなる?【写真:Getty Images】

 もっともネタ元はスペインメディア『ムンド・デポルティーボ』なので、これは、バイエルンも狙っているとアピールして、コウチーニョの価値を上げる作戦なのかもしれない。

 今週木曜には、リヴァプールで欧州クラブアソシエーション(ECA)の会合が行われた。ここでPSGのナセール・アル・ケライフィ会長は、バルサ、マドリーの代表と顔をあわせ、この日が何かしらの進展のきっかけになる『Xデー』となる可能性もある。

 渦中のネイマール本人の心境が気になるところだが、8月11日付のパリジャン紙が、ブラジルメディアUOL Esporte のパリ特派員の談話を掲載していた。

 ジョアン・エンリケ・マルケス記者曰く、ネイマールの取り巻きの話では、ここ最近、ネイマールはふさぎこんでいるそうだ。もっと早くカタがつくものと思っていたらしい。ふだんのネイマールは、笑みを絶やさず、ジョークを飛ばしているような人物。しかしいまのような、去就がはっきりせず、なにより試合でもプレーできない状況は、さすがに耐え難いらしい。

 ちなみにマルケス記者によれば、ネイマールの故郷ブラジルでは、彼にレアル・マドリー、もしくはバルセロナに帰って、バロンドールを目指して活躍してほしい、と願う人と、PSGとの契約をきっちりまっとうして、PSGで栄光をつかんでほしい、と考えている人が混在しているそうだ。

 はたして円満な離婚となるのか。それとも、もう思い合ってはいないのに、離婚はかなわず家庭内別居状態になるのか!?

 いずれにしても、一気に加速しだしたオペレーション・ネイマール。頓挫するにせよ合意に至るにせよ、今週中になんらかの動きがありそうだ。

(文:小川由紀子【フランス】)

【了】

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