8月14日はチャンスになるかもしれない
ベテランの林や中林を上回る安定感を示せれば、城福監督も必ず大迫を再びピッチに送り出すはず。その日を信じて、今は原点に返って地道な努力を重ねるしか、苦境脱出の術はない。
幸いにして広島にはJ1のみならず、YBCルヴァンカップも天皇杯も残されている。8月は6試合の過密日程となるだけに、指揮官もどこかで大迫にチャンスを与えたいと考えていることだろう。さしあたって8月14日の天皇杯3回戦・ツエーゲン金沢戦は1つの大きなチャンスになるかもしれない。そこで再び「やれる」というところを示して、1つ1つ階段を駆け上がっていくことができれば、再び日の丸をつける可能性も広がってくる。
次にチリのようなハイレベルな相手と対峙できる機会が、いつ訪れるかは全く分からない。が、大迫は高い目標へと貪欲に突き進んでいくつもりだ。GKというのは回り道して成長するもの。それは4度のワールドカップを経験した川口能活や楢崎正剛、足掛け10年間欧州で戦い続けている川島もそうだった。偉大な先輩たちの領域を到達するためにも、若き守護神が歩みを止めている時間はない。
(取材・文:元川悦子)
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