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ドルトムント、香川真司も舌を巻いた“ロイス・システム”。強力故の弱点も…限界露呈した後半戦【18/19シーズン総括(12)】

シリーズ:18/19シーズン総括 text by 本田千尋 photo by Getty Images

“プランB”の構築なるか

 そのロイスが前半だけで試合を離れたポカールのブレーメン戦は、PK戦の末に敗退。9日にホームで行われたホッフェンハイム戦は3点をリードしながら追い付かれ、18日には最下位のニュルンベルクを相手に0-0のドローに終える。その間、13日に行われたCLの決勝トーナメント1回戦は、アウェイでトッテナムに0-3で完敗。戦術的にも精神的にも要のスピードスターを失った影響は明らかだった。

 主将は3月1日のアウクスブルク戦で戻ってきたが、ロイス以外にも怪我人が出たことも重なり、ドルトムントは前半戦のような圧倒的なパフォーマンスを維持できない。“ロイス・システム”だけでシーズンを通して戦うには限界があった。

 とうとう3月25日の第25節を終えて、追走して来たバイエルンに首位の座を明け渡す。第27節でボルフスブルクに勝利して一時は首位に立ったが、その翌節、4月6日にはバイエルンとの“天王山”で0-5の完敗。再び2位に順位を下げ、18/19シーズンはそのままフィニッシュすることになった。

 こうして後半戦では、ロイスのバックアッパーがいないという課題が浮き彫りになった。いくらドルトムントを心の底から愛し、ワールドクラスのパフォーマンスを発揮できたとしても、ロイス1人で3つのコンペティションを戦うチームを引っ張り続けるには、やはり限界がある。

 だが、前述したとおり、18/19シーズンの目標はあくまで「チャンピオンズリーグの出場権を得ること」。そう考えれば、11/12シーズン以来となるブンデスリーガ優勝こそ逃したが、目標は十分に達せられたことになる。

 来る新シーズンでは、ファブレ監督が“ロイス・システム”だけでなく“プランB”を準備できるか、またレバークーゼンから新加入のユリアン・ブラントあたりがロイスのバックアッパーを務めることができるか、そうしたチームとしての“総合力”が問われることになりそうだ。

(文:本田千尋)

【了】

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