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久保建英、45分間で示した可能性。まさに「黄金の左足」、天才がレアルにもたらした効果とは

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

18歳がもたらした効果

 18歳のレフティーは、左インサイドハーフの位置で出場。すると開始わずか20秒であった。フェルラン・メンディからのパスを呼び込んだ久保は、まず後方から寄せにきたヨシュア・キミッヒをしっかり確認してボールをコントロール。ややタッチは乱れたが、その後慌てることなく、前方から寄せにきたバンジャマン・パバールもかわし、左サイドを突破。クロスはGKスベン・ウルライヒにキャッチされたが、試合の入りとしては申し分なかった。

 その後はチーム全体が押し込まれた影響もあって、なかなか久保にパスが回ってこない。中盤で何度か動き直しをしてボールを引き出そうとはしていたが、バイエルン側も中央をしっかりと締めていたため、パスコースは限定されていた。

 それでも、61分には久保のらしさが表れた。バイエルンからボールを奪い、DFナチョ・フェルナンデスがボールを持ったシーン。この時久保は、左右に首を振って、自分と相手の距離感、そしてスペースの確認を済ませていた。この時点で、パスが来た時の準備ができていたのである。そしてナチョからヨビッチへ縦パスが入ると、その瞬間、久保はセルビア代表FWの横へ飛び出す。直前にそのスペースが空いていることを理解しているので、躊躇なく前へ走ることができたのだ。そこでヨビッチからパスを受けた久保は、そのままドリブルで前進。前を走っていたヴィニシウス・ジュニオールへパスを出して好機を演出したのである。

 マドリーはとくに後半、押し込まれる展開が続き、相手のプレスも鋭かったためなかなか前へボールを運ぶことができなかったが、久保だけは常にゴールを意識していた。ボールを受ければ必ず縦。そこを徹底していたため、チーム全体のラインも久保にパスが収まれば自然と上がっていく。その後のスペースカバーや背後の意識はマドリー守備陣の課題となったが、18歳がチームにもたらした効果は決して小さくはなかった。

 その後も久保は、抜群のポジショニングからパスを引き出してチャンスを演出。71分にも最終ラインからボールを受けV・ジュニオールへスルーパスを出した。間違いなく、マドリーの攻撃の起点となっていたのである。

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