完勝した“ほこたて”対決
アウェイの多摩川クラシコに3-0で快勝した川崎フロンターレ。今季最高ともいえる内容で首位のFC東京を圧倒していた。
「自分たちのプレーをして、相手にはやらせない」(中村憲剛)
それができれば勝って当然ともいえるが、それがなかなか難しい。FC東京の武器は堅守と永井謙佑&ディエゴ・オリヴェイラのカウンターアタック、川崎はパスワークが看板。いわば矛盾対決である。
攻める川崎、守るFC東京という図式で噛み合う。どちらも特徴を発揮しやすい半面、相手の特徴は消しにくい。相手の長所を削ろうとすると、自分たちの長所も消えてしまいかねない。
例えば、川崎が引いてスペースを消して守れば、FC東京のスピードをコントロールできる。しかし、それでは川崎の良さも半減してしまう。
その点で、FC東京の良さを出させず、自分たちのペースに引きずり込んだのだから、川崎の完勝といっていい。
第一に、高い位置からプレッシャーをかけてボールホルダーをフリーにしなかった。パスの出所を抑えたのでロングカウンターを封じることができた。第二に、ショートカウンターをさせなかった。FC東京のプレスを外し、ボールを失わないことでショートカウンターの機会を与えなかった。失わないので相手を押し込めた。押し込めたのでハイプレスが機能した。
相手を封じる、自分たちの特徴を出す、その両面で田中碧、下田北斗の2人が果たした役割は大きかった。中村憲剛、小林悠の卓越したプレーがあったとはいえ、好守の軸になるボランチが安定していてチームのスタイルにブレがなかった。