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Jリーグ 5年前

マリノス遠藤渓太、「点を取れないよね」からの脱却。代表落選の悔しさ、今季初ゴールにこめられた万感の思い

text by 藤江直人 photo by Getty Images

力みのない動きから放たれた初ゴール

 自陣の中央で横パスを受けたレッズの右ウイングバック・橋岡大樹が前を向き、ボールを前へ運ぼうとした直後だった。対面に立ちはだかったマリノスの左サイドバック・ティーラトンのプレッシャーに臆したのか。橋岡は勝手にバランスを崩して、ボールを失ってしまう。

 すかさずボールを拾ったティーラトンが橋岡を置き去りにして、斜め右前方へいた遠藤の足元へ正確無比なパスを通す。相手ゴールに背を向けた状態で、左足でパスをトラップした遠藤は体を時計と逆回りにターンさせながら、ボールを利き足とは逆の左足の近くに置いた。

 混乱をきたしていたレッズの守備陣のなかで、3バックの中央を務めるマウリシオが必死に間合いを詰めてきた。左足の近くにボールを置けば、自身の体の横幅分だけマウリシオと距離を作ることができる。すべては計算された動きだったのか、と問われた遠藤はゆっくりと首を縦に振った。

「ブンちゃん(ティーラトン)からいいボールが来て、珍しくというか、すごくいいところにボールを置くことができた。ああいうシュートを打っていた時期もあったし、しっかり打ち切っているシーンもあった。それが今日はようやく入ってくれたことで、いい時間帯で自分が先制点を取れてチームが勝てたことは嬉しいし、これで3人の負担も減ってくれるかなと思っています」

 ターンを含めた力みのないスムーズな動きから、左足をコンパクトかつ思い切り振り抜く。ミートの瞬間だけ力を込める、理想的なスイングから放たれた強烈な弾道はブロックしようと飛び込んできたマウリシオの股間を抜けて、ゴールの右隅を正確無比に撃ち抜いた。

 今季のリーグ戦で18試合目、時間にして1113分目にようやく決まった、誰よりも遠藤自身が待ち焦がれてきた初ゴール。この間、左ウイングを主戦場として、縦へ飛び出す突出したスピードと高度なテクニックを融合させながら台頭してきたホープは、予期せぬ試練も味わわされている。

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