チームメイトやファンの期待は伝わっていた
今季の遠藤は北海道コンサドーレ札幌戦を除くすべてのJ1リーグ戦、YBCルヴァンカップのグループリーグ6試合、そして立命館大学(京都府代表)を2-1で振り切った天皇杯全日本サッカー選手権2回戦で、アンジェ・ポステコグルー監督からチャンスを与えられてきた。
しかし、ホームの日産スタジアムで浦和レッズと対峙した、13日の明治安田生命J1リーグ第19節がキックオフを迎えた時点で、公式戦で一度もゴールネットを揺らしていなかった。それでもリーグ戦においては、マリノスの総得点が最多を数えていた事実が歯がゆく感じられた。
ともに今季から加入したブラジル人コンビ、エジカル・ジュニオとマルコス・ジュニオール、昨季にJ1初ゴールを含めた9得点をあげるなど、大ブレークを遂げた仲川輝人のトリオが叩きだしたゴール数は、レッズ戦を迎えた時点で実に「24」に達していた。
「本当に3人を頼って、3人に助けられながらここまでリーグ戦を戦ってきました。でも、そんな(自分がノーゴールという)状況でもチームメイトのみんなは自分を信頼してくれたし、ファン・サポーターのみなさんもすごく応援してくれているのが伝わってきたので」
チームメイトたちからかけられ続けた「いつゴールを決めるの」を、ファン・サポーターの間で広まっていった「遠藤っていいけど、でも点を取れないよね」を、自分に対する期待やエールの裏返しと受け止めてきた。そして、レッズ戦の38分に呪縛から解放される瞬間が訪れた。
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