来季に向けての心配事とは
そして来季に目を向けるのであれば、CBの問題はさらに深刻だ。
まずホールディングは長期離脱明けのため、どの程度活躍できるのかは未知数だ。いずれにしてもシーズンフル稼働を期待するのはやや酷だろう。
なお、別の意味の”ホールディング”でいうと、ソクラティスに関しては気迫のこもった対人戦を見せてくれる素晴らしい選手だが、すぐに手を出して相手を止めてしまう悪癖がある。VARが導入される来季、ボックス内のホールディングのファールは見逃されなくなる。ギリシャ代表DFをレギュラーとして起用していいのか、悩ましいところである。
そして頼みの綱であるローラン・コシエルニーはプレシーズンマッチの米国遠征を拒否したという情報が入ってきた。この夏の母国帰還を本人は希望していたとのことだが、クラブと交渉がこじれたようだ。もしかするとシーズンが始まった頃にはアーセナルの登録メンバーに入っていない可能性もある。
カラム・チェンバースをCBとして使うという選択肢もあるかもしれないが、彼は昨季本職のDFではなく、守備的MFとしての才覚をローン先のフラムで示した。センターバックでの起用で本当に良いのか。
その他にも左SBやウイングなど補強ポイントはあるが、一向に話が進まない。今のところ即戦力なのかはわからない18歳のブラジル人アタッカー、ガブリエウ・マルティネッリを獲得したのみである。おそらくだがこのペースでいくと、獲得も放出も100%は終わらないままシーズンを迎えることになる。
とはいえエメリ監督は、柔軟性の高い監督ではある。既存戦力でチームの強さをどう最大化するかは見物でもある。「カメレオンチームが理想だ」と本人も語るが、来季はどんな変化を我々に見せてくれるのか。理想のスカッドとはいえない状況ではあるが、それも含めてチームをどう成長させるのかは、楽しみなポイントである。
(文:プレミアパブ編集部)
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