戦術面のシティの進化とは
当たり前のことだがボールを極力保持する戦略に変わりはない。ただし崩しの方法はアップデートされた。3バックの試合もあったが、基本的には4-3-3のシステムを採用し、インサイドハーフの位置をかなり高めに設定したのが昨シーズンの一番の変化だろう。
これまでだと、3枚の中盤のうち、一枚のインサイドハーフはストライカーの近くまで上がるが、もう一枚のインサイドハーフとDMFはバランスを見て低めの位置をとることもあった。ただし昨シーズンはインサイドハーフが2枚とも、ほぼ前線に位置するポジションをとった。3トップと合わせて、事実上の5トップ状態である。
相手が4バックで守る場合、この配置だとシティのウイングは必ず1枚フリーになることを意味する。片方のサイドでパスを回して相手を引き付けた後にサイドチェンジをすると、両ウイングがかなり自由な状態で仕掛けることができる。あるいは相手DFがウイングに気を取られてサイドに意識が向かったところを、中央から崩すことも可能だ。
とはいえ相当前がかりな配置なので、ボールを奪われた後の守備には、例年以上に細部までこだわったはずだ。工夫のうちの一つで言えば、以前から取り組んでいることだが、サイドバックのカイル・ウォーカーが絞り気味のポジションをとることで、中盤の選手としても、サイドバックとしても守備面で機能するようにしていた。また全選手が当然のようにハードワークを欠かさなかったことも付け加えておきたい。
いずれにしてもシティはこの戦い方で例年以上に主導権を握ることに成功したのだ。
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