ブラジル代表のチッチ監督【写真:舩木渉】
ブラジル代表の記者会見では、何度も「チームワーク」という言葉が飛び交った。これこそが現地2日に行われるアルゼンチン代表とのコパ・アメリカ2019(南米選手権)の準決勝において、重要なテーマになる。
1日に前日記者会見に出席したブラジル代表のチッチ監督は「私は選手たちにも『アルゼンチンは個の力だけではない』と話した。彼らは集団としても成長している。集団は個性をより高めてくれるものだ」と述べた。
どうしても注目されるのは「リオネル・メッシ」をどう止めるか。記者たちからも「アルゼンチンにはメッシがいますけど…」といった質問が何度も出た。チッチ監督も「メッシを無効化することはできない」と認めるが、それでも「彼のプレーを遅らせることはできる」と主張する。それが「チームワーク」だと。
「フィリッペ・コウチーニョが消えないように、ロベルト・フィルミーノがいて、ダビド・ネレスがいる。他にも多くの選手を使ってきた。彼らは時として決定的な存在となる」
個性が輝くためには、前提として優れた組織がなければならない。組織的にプレーすることで個性を殺すのではなく、集団としてのまとまりは個性を生かすためのものだとチッチ監督は力説した。
「秩序と組織はボールのあるところではなく、ボールのないところでのプロセスだ。どんなチームでも創造的なプロセスは、前提にある組織から生じることを私は知っている。ここで今大会のデータを見ると、ドリブルを試みた回数が最も多いのはブラジルなんだ。それが答えだよ」
チッチ監督は手元にあった紙を示しながら、「ドリブル」という個性を発揮するプレーが、ただ個々の積極性で生まれたものではなく、チーム戦術の一部として機能していることを強調していた。メッシという圧倒的な個人の力の前に、ブラジルは組織で対抗する。
大一番は現地2日の21時30分(日本時間3日9時30分)キックオフ。伝統の一戦で、ブラジルが培ってきたチーム力の全てを見ることができそうだ。
(取材・文:舩木渉【ブラジル】)
【了】