コロンビア代表のカルロス・ケイロス監督【写真:Getty Images】
コパ・アメリカ2019(南米選手権)は決勝トーナメントに突入。現地28日には準々決勝でチリ代表とコロンビア代表が対戦した。
拮抗した試合は0-0のまま90分が過ぎ、決着はPK戦に。最後はコロンビアの5人目を任されたウィリアム・テシージョが外して、チリは5人全員成功。5-4でチリが準決勝への切符を勝ち取った。
試合を終えて、コロンビア代表のカルロス・ケイロス監督は怒り狂っていた。「サッカーの神々は頭がおかしい!」と憤慨していた理由は、試合の15分前にあったという。
このチリ戦では様々な出来事があった。試合前には渋滞に巻き込まれたチリ代表のチームバスのスタジアム入りが遅れ、キックオフ時間も20分後ろ倒しに。試合中は2度にわたってVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入によってゴールが取り消された。
しかし、ケイロス監督の怒りの矛先は別のところに向いていた。
「試合の15分前にレフェリーがロッカールームまできて、ルール変更があることを伝えてきたんだ! わずか15分しかない試合前に、変更があったなんてことを選手たちにどうやって伝えればいいんだ!? 大衆は知らない。メディアも知らないんだ」
この「ルール変更」とは、オフサイドに関するものだったという。確かにチリ対コロンビアではオフサイドのジャッジが遅く感じていたが、チームには「オフサイドは攻撃が完全に終わるまで、どんなサインも出さない」と伝えられたようだ。
これは「VARを常により安全に運用するためのもの」という説明があったとのこと。ケイロス監督は「40mもオフサイドから追いかけることはできないだろう。プレーを続けるべきか、やめるべきかもわからないんだから」と怒りをあらわにした。
オフサイドだと感じればアピールし、副審も対象の選手がプレーに関与したらすぐにフラッグを挙げるのが、これまでのルールだった。選手たちの体にもそれにともなう動きが染みついている。試合のわずか15分前に、オフサイドがあっても攻撃が終わるまでプレーを続けなければならないと伝えられて、すぐに対応するのは難しかったはずだ。
ケイロス監督はVARの介入によるゴール取り消しにも一家言あるようで、「敗退の責任は私にある」としながらも、「これまでの100年間、ゴールは明らかなものだった。主審がピッチ上で見たものから、決断を下す。私はこれ以上VARについて話したくない」と試合を裁くルールの急激かつ一方的な変更に怒りを隠せないようだった。
(取材・文:舩木渉【ブラジル】)
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