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Jリーグ 5年前

松本山雅が4年前の失敗を繰り返さないために。必要なのは勝利のみ、いざガンバとの大一番へ【英国人の視点】

J1昇格1年目を迎えている松本山雅FCだが、ここまでは苦しんでいる。16試合を終え稼いだ勝ち点はわずか「16」。このままいけば2015シーズンと同じく1年でのJ2降格という最悪の事態は避けられないだろう。しかし、田中隼磨は同じ過ちを繰り返さないと力強く語る。ここからの巻き返しへ。まずは第17節のガンバ大阪戦が、一つの分岐点となるはずだ。(取材・文:ショーン・キャロル)

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

目標は「トップ15」

松本山雅
J1昇格1年目のシーズンを戦っている松本山雅FC【写真:Getty Images】

 松本山雅FCの反町康治監督は今季の開幕前に、復帰を果たした1部リーグでの目標は「トップ15」だと話していた。「残留」ではなく「トップ15」である。昨季のJ2では開幕から6試合勝てず、第8節までにわずか1回しか勝ち点3を獲得できなかったが、2019年はより力強いスタートを切りたいという望みも口にしていた。

 2018年は目覚ましい復調から最終的にJ2王者として昇格を勝ち取ることができた。今季はより順調に戦いをスタートさせ、開幕から2試合で勝ち点4を獲得。同じ昇格組である大分トリニータと、大型補強で注目されるヴィッセル神戸、サガン鳥栖を破り、第8節までに3回の勝利を収めた。

 だがその後の松本はトーンダウンし、最近8試合では5月26日のアウェイでの名古屋グランパス戦を1-0で制したのが唯一の白星。その間わずか2ゴールしか挙げられず、16試合を終えて勝ち点16の獲得にとどまっている。

「前半戦のうちに勝ち点20は行きたかったんですが、それは難しくなってしまいました」と反町監督は、先週土曜日のアウェイでの横浜F・マリノス戦に0-1の敗戦を喫したあと話していた。

「1試合で勝ち点1という計算だと16ですから、かなり厳しいレベルだと考えています。下から上がってきたことを踏まえると、トップ15に入ることが大きな目標ですし、それに向けてこれからも精進していかないといけない」

「何回も言いますが、足りない部分はあるとしても、なんとか這い上がってやる。そういう『松本魂』を見せていきたいです」

「今年は同じ失敗を繰り返さない」(田中隼磨)

田中隼磨
田中隼磨は「今年は同じ失敗を繰り返さない」と力強く話す【写真:Getty Images】

 過去4シーズンのうち3シーズンは、1試合平均1ポイントを獲得できればちょうど残留に届いていた(2015年、2016年、2017年の残留ラインはそれぞれ34、30、33)。だが昨季は異例のハイペースとなり、名古屋、鳥栖、湘南ベルマーレ、横浜FMが残留するには勝ち点41を獲得する必要があった。ジュビロ磐田は同じく勝ち点41だったが得失点差で劣り、入れ替え戦を戦わなければならなかった。

 つまり松本がこのペースでの勝ち点獲得を続けたとすれば、残留できるかどうかギリギリとなる可能性が高い。初めてJ1で戦って1年での降格に終わった2015年を上回る結果を残したいのであれば、シーズン後半戦にチームの改善が必要となることは田中隼磨も理解している。

「もちろん4年前は、クラブにとっても初めてのJ1でした」と田中は古巣であるマリノスとの試合後に振り返った。

「当時はJ1を経験している選手もスタッフもほとんどいませんでした。はっきり言ってたぶん経験があるのは僕だけだったと思います」

「あれから4年経ち、今回はJ1で生き残るための戦いをずっとしてきました。クラブとして本当に4年前の悔しさが身に染みていて、今年は同じ失敗を繰り返さないように戦っています」

「改善すべき課題は確かにありますが、最終的にはまずJ1に生き残ることで、そのためには結果が全てです。戦術や戦い方をあまり考えすぎるよりも、そういう結果を求め続けて、シーズン後半戦や次の試合で見せていきたいと思います」

G大阪戦はまさに「大一番」

 その「次の試合」は大一番となる。上り調子のガンバ大阪との対戦だ。91分に食野亮太郎が挙げたゴールで先週末の湘南戦に1-0の勝利を収め5試合連続無敗としたG大阪は、松本より3つ上の順位に位置しているが、勝ち点差はわずか1ポイントでしかない。

「もちろん下位同士の大事な一戦だが、こちらのホームでの試合だ」とパウリーニョは次節の試合に向けて語った。

「支えてくれるサポーターの目の前で戦えることは本当に大きな後押しになる。そういう気持ちを見せられる戦いをして、勝てるようにしたいと思う」

 松本のホームゲームでのサポートの素晴らしさはたびたび話題に上る。だが、日本でサッカーを観戦するのにアルウィンが最高の場所の一つであることは確かだとしても、今季はその観客席の雰囲気がなかなかチームの勝ち点獲得には繋がっていない。

 ここまで松本は本拠地でわずか2回勝利したのみ。スター選手を連れて乗り込んできた神戸と鳥栖を下した前述の2試合だ。ピッチ外からの応援に応えるため、ピッチ上の選手たちもクオリティを高めていく必要があるとパウリーニョは語る。

「ファンは毎試合素晴らしい雰囲気を作り出してくれているが、僕らはまだあと少し成長しなければならない」とブラジル人MFは語る。「J1に戻ってきたばかりなので、まだしっかり馴染んでいない部分もある。言い訳ではないけどそれも事実だと思う。これからもっと勝てるようにしていきたい」

 今日のガンバ戦で勝ち点3を獲得できれば、ちょうどシーズン折り返しとなる時点で大きな勢いをつけられることは間違いない。だが敗れてしまうようだと、運命の後半戦に向けて致命的な自信喪失にも繋がりかねない。

(取材・文:ショーン・キャロル)

【了】

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