ブラジル代表のコパ・アメリカ準決勝進出を報じる『フォーリャ・ジ・サンパウロ』紙【写真:舩木渉】
ブラジル代表は27日、コパ・アメリカ2019(南米選手権)の準々決勝でパラグアイ代表と対戦した。
前後半90分では0-0のスコアレス。今大会は準々決勝まで延長戦が行われないため、PK戦の末にブラジルが4-3でパラグアイを下した。試合前は大半のメディアがブラジルの快勝を予想していたが、思わぬ苦戦を強いられることになった。
しかも、ブラジルにとってコパ・アメリカでのベスト4入りは12年ぶりのこと。2007年大会で優勝して以来、2011年と2015年大会は準々決勝で敗退。2016年のコパ・アメリカ・センテナリオでは屈辱のグループリーグ敗退に終わっていた。
試合から一夜明け、地元紙『フォーリャ・ジ・サンパウロ』は「ブラジル、2度のPKのドラマから復活。12年ぶりに準決勝へ舞い戻る」と見出しを打った。
実はブラジルにとってパラグアイは因縁の相手だった。ベスト8止まりだった2011年大会と2015年大会、ともに敗れた試合の相手はパラグアイで、いずれもPK戦までもつれての敗退だったのである。まさに「3度目の正直」と言える。
同紙も「ブラジルは過去3大会のうち2大会でパラグアイを前に、PK戦によって終わっていた。だが今回の結果は違った」と因縁の相手を破っての準決勝進出を祝った。
しかし、対戦相手が手強かったことも認めている。同紙は「パラグアイの守備システムはこれまで黄色のチーム(ブラジル)が遭遇した相手よりも効率的であることが証明された」と述べ、チッチ監督が想定していた圧倒する展開にならなかったことを指摘。
特にブラジルがチャンスをフイにし続けた前半を終えて、後半「4人ずつが並んだ2列のラインがマークにつき、デルリス・ゴンザレスを前線に(ボールの)逃げ場として残していた」とカウンター狙いのパラグアイの明確な布陣を分析。自信をつけた守備の堅牢さを称賛していた。
チッチ監督が描いたゲームプラン通りにはならなかったが、けが人や出場停止者、体調不良の選手も抱えてベンチ入りメンバーが不足する危機的な状況でもブラジルは勝ち切った。準決勝の相手はアルゼンチンかベネズエラになる。さらに厳しい戦いが想定される中で、開催国としての意地とプライドを示したいところだ。
(取材・文:舩木渉【ブラジル】)
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