両者勝利必須の第2戦
コパ・アメリカ2019(南米選手権)のグループリーグA組は、早くも第2戦を迎えることになった。同グループはブラジル代表の突破が有力視されているが、その他の3ヶ国の実力は拮抗しており、果たしてどこが決勝トーナメントに進出するか予想するのは難しい。しかし、第2戦の結果で、そうしたあたりの運命は少しずつ見えてくるだろう。
そんな重要なグループリーグ第2戦。現地時間18日にはボリビア代表とペルー代表が激突した。
ボリビアは初戦で優勝候補ブラジルと対戦。前半こそ粘り強い守備を見せ、0-0で終えた同国だったが、後半はフィリッペ・コウチーニョやロベルト・フィルミーノらが強烈な個を発揮し、一気に3得点を奪われ、敗北を喫することになった。
一方のペルー代表は、初戦でベネズエラ代表と対戦。相手に退場者が出た影響もあり、ペルーはペースを握り相手陣内へ何度も侵入し、多くのチャンスを作った。しかし、ゴールネットを揺らすことはできず、悔しいスコアレスドローに終わっている。そうした不完全燃焼感の払拭、最終戦がブラジル代表とのゲームであることを考えても、ボリビア戦の勝利は必須となっていた。
試合は立ち上がりから予想通りの展開となった。1トップのマルセロ・マルティンスを残した9人が自陣へ引き、守りを固めるボリビアに対し、ペルーは支配率を高めながら攻略を図る。攻撃時は1トップのパオロ・ゲレーロとトップ下のジェフェルソン・ファルファンが2トップのような形を取り、それぞれ相手CBとSBの間のスペースを狙うようなポジショニングを意識。サイドハーフのクリスティアン・クエバやアンディ・ポロがそこへ鋭い縦パスを入れるシーンも何度かあった。
ボリビアは自陣でブロックを敷き、相手からボールを奪っても素早いカウンターへつなげる、といった狙いはあまり見受けられなかった。マイボールにした後もゆったりとした攻めで、的確にペルーの守備を崩そうとしたのである。
ボリビアにとっては理想的な展開。しかし…
試合が20分を経過した時点で、優勢に立っていたのはペルーの方だった。やはりカウンターの威力は鋭く、両サイドバックが高い位置を取ることで繰り出される厚みのある攻撃は、守備の意識を徹底して行っているボリビアにとっても脅威となっていた。
しかし、試合を動かしたのはボリビアだった。28分、ペナルティエリア手前やや右方向からフェルナンド・サウセドがシュートを放つと、これがカルロス・サンブラーノの手に当たったとしてボリビアにPKのチャンス。これをマルティネスが冷静に沈め、ボリビアが先制に成功した。
同国にとっては、まさに理想的な展開だったと言えるだろう。守備に自信を持つボリビアからすれば、この1点を守り切ることは決して不可能ではなかった。むしろ、この先制ゴールのおかげで自分たちのストロングポイントを余すことなく発揮できる。そうした考えは、監督、選手の頭の中にあったはずだ。勝利への道は、完成されつつあった。
実際、先制後のボリビアは自陣へ引き、よりブロックを厚くした印象があった。その守備にペルーは苦戦。自慢の攻撃陣は、なかなかゴールネットを揺らすことができない。
だが、“1発”が流れを完全に変えた。44分、自陣でボールを奪ったクエバから相手CB2人の間を巧みに狙ったゲレーロへスルーパスが通る。完全にDFを振り切った背番号9はそのままGKカルロス・ランペもかわし、冷静にゴールへ流し込んだ。
前半終了間際に“1発”を叩き込んだペルーは、その勢いのまま、後半へ挑んだ。そして55分には左サイドでゲレーロがクロスを上げると、これをファルファンが驚異の跳躍力を生かしてヘディングシュート。これがゴールへ吸い込まれ、あっという間にペルーが逆転に成功した。
こうなるとボリビアは厳しい。ここから2点を取って逆転できるような攻撃力は備わっておらず、カウンターも決して鋭くない。先制するまでは理想的な展開だったのだが、前半終了間際から後半開始にかけて最悪の展開に持っていかれてしまったのである。
勝利の立役者となったベテランコンビ
ペルーは後半ATにも途中出場のエディソン・フローレスがゴールネットを揺らし、3-1に。試合はこのまま終了。ペルーが今大会初勝利、ボリビアは連敗という結果になった。
この試合、先制されるなど厳しい戦いを強いられたペルーだったが、この二人が完全にゲームの流れを変え、チームを救ったと言えるだろう。パオロ・ゲレーロ、ジェフェルソン・ファルファンである。
ゲレーロはこの試合で1得点1アシストの活躍。ファルファンは1得点2アシストを記録するなど全得点に絡む大活躍を見せている。彼らは縦関係の時はもちろん、2トップのような形でも怖さを示すことができていたと言えるだろう。とくに同点ゴールの場面は見事の一言。一発を沈めることができる選手が前線に存在するということは、ペルーにとって大きいだろう。
ゲレーロはこの試合で計3本のシュートを放っており、ファルファンは計5本放っている。チームの合計シュート数が18本であることから、この二人でおよそ半分ほどのシュートを放っていることになる。
さらに決定的なパスの本数はゲレーロ2本、ファルファン3本とこちらも申し分ない成績。ドリブル突破回数もともに3回となっているなど、さすがの存在感を放った。
次戦、ペルーは決勝トーナメント進出を目指し、ブラジル代表と激突する。もちろんグループリーグ最大の難敵であり、厳しい戦いとなることが予想されるが、果たしてどこまで力を証明できるだろうか。
そしてゲレーロ、ファルファンの両者はブラジル戦でも怖さを発揮することができるのか。このベテランコンビが再び爆発すれば、強豪撃破も不可能ではないはずだが…。
(文:小澤祐作)
【了】