ヴィニシウスに似ている? マドリーの難しさ
歴史を紐解けばフィーゴやルイス・エンリケをはじめ、バルセロナとマドリーの両方のトップチームでプレーした経験を持つ選手はわずかながら存在する。一方、両チームの下部組織に在籍経験を持つ選手はさらに多くいるのも事実だ。トップチームでなければ“禁断の移籍”とまでは言えないという分析も理解できる。
そんな中でソレール記者が、「近年の久保に似たケース」として挙げたのはヴィニシウス・ジュニオールだった。昨夏、18歳になってブラジルのフラメンゴからマドリーのBチームに加入し、結果を残してすぐさまトップチームでも出番を得るようになったドリブラーである。
「ヴィニシウスはすぐにトップチームでプレーするようになって、スタメンにも名を連ねるようになった。日本人選手が若いうちにスペインのトップリーグでプレーする例は多くないし、実現すれば素晴らしいニュースだと思う」
マドリーのBチームからトップチームへ昇格することの難しさは世界屈指だ。近年の例を見ても、カスティージャから巣立ってスター軍団の中に定着したのは、カゼミーロ、ダニ・カルバハル、ナチョ・フェルナンデス、ルーカス・バスケス、フェデリコ・バルベルデ、セルヒオ・レギロンくらいで、在籍した選手の数から考えると極めて狭き門であることは明らかだろう。
しかも、カルバハルやL・バスケス、バルベルデ、レギロンはレンタル移籍を活用して他クラブでの武者修行を経験している。久保がプレーすることになるカスティージャからトップチームに直接昇格したのはナチョが最後。16歳の頃、鳴り物入りで迎えられ破格の条件を生かしきれなかったノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴーもレンタル生活が続き、ヴィニシウスですら今季はカスティージャ登録のままで、新シーズンはレンタル移籍で放出される可能性が取りざたされている。