「大会に集中したい」久保は雑音をシャットアウト
レアル・マドリーが久保建英を獲得。新シーズンに向けて、まずはBチームにあたる「カスティージャ」に加入することが決まった。そのニュースはスペインや日本のみならず世界中を駆け巡り、もちろんブラジルの地にも届いている。
久保は現在、日本代表の一員としてコパ・アメリカに参戦中。その初戦に向けた準備を進める過程でマドリー移籍が決まり、14日の練習にはスペインなどの大手メディアも数多く姿を見せた。そして誰もが「クボ」と口をそろえる。
一方、取材に応じた当の本人は「大会に集中したいので、大会終わるまでは大会のことだけしか答えないです」と、自らの意思をはっきり示した。周囲の喧騒に惑わされず、常に自分を失わない久保の精神的な強さは南米においてもたくましい。
とはいえ注目を集めるのも致し方ないか。今大会に参戦している「レアル・マドリーの選手」はブラジル代表のMFカゼミーロとDFエデル・ミリトン、ウルグアイ代表のMFフェデリコ・バルベルデ、そして日本代表の久保の4人だけ。Bチーム所属とはいえ、彼らと同列に並ぶ存在になったということである。
「今朝になって久保がレアル・マドリーへ移籍することが決まって、練習に行って久保のコメントを取れれば取ってきてほしいと僕の上司から話があった」と明かしたのは、スペインの通信社『EFE』から派遣されたジェラール・ソレール記者だ。
もともと17日の日本対チリを取材予定だったというソレール記者は、「彼のような若手選手の移籍がこれだけ大きく報じられているのは、ちょっと驚いた」ともいう。だが、「久保が“ジャパニーズ・メッシ”と呼ばれているのは誰もが知るところだけれど、今回のマドリー移籍が大きなニュースになったのは、彼がそれだけ大きな期待を背負っているということを示している」とスペインでのメディアでの扱いの大きさの妥当性を分析していた。
ただ、バルセロナ出身の選手が宿敵であるマドリーに移籍するという意味で、過去の似たケースとは性質が違うとも見ている。
「久保のケースは、一般的な“禁断の移籍”とはちょっと違う。彼がバルセロナにいたのは子供の頃だった。バルセロナの人たちは裏切りだと感じるかもしれないけれど、スーパースター級の選手たちとは性質が異なる。確かにバルセロナとマドリーの関係は“シビル・ウォー”、つまり2都市間の内戦のようなものだけれど、久保がプレーしていたのは下部組織にすぎない。マドリーでもそうなる。ルイス・フィーゴやルイス・エンリケのように、大人になってからの移籍とは異なるものだと思う」