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拮抗の2弱対決も…ペルー代表に漂う“何かを起こす”予感。ベネズエラ代表戦で見せた脅威【コパ・アメリカ】

コパ・アメリカ(南米選手権)・グループリーグA組第1節、ベネズエラ代表対ペルー代表が現地時間15日に行われた。ペルーは随所で持ち味を発揮し、シュートも17本放つなどベネズエラを苦しませたが、判定にも泣き無得点で試合を終えた。しかし、何かを起こす雰囲気は十分に漂っていた。(文:小澤祐作)

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

実力拮抗の“2弱”対決

ペルー代表
ペルー代表はコパ・アメリカのグループリーグ第1節でベネズエラ代表と対戦し、スコアレスドローに終わっている【写真:Getty Images】

 コパ・アメリカ2019(南米選手権)・グループリーグA組は1強3弱という見方が強い。「1強」はもちろん開催国のブラジル代表であり、その他のベネズエラ代表、ペルー代表、ボリビア代表が3弱に数えられる。

 現地時間14日に行われたブラジル対ボリビアは、前半こそ0-0となったが、後半は開催国が強さを見せつけ3-0と快勝。予想通りの幕開けとなった。

 迎えた現地時間15日にはグループリーグA組のもう一試合、ベネズエラ代表対ペルー代表の試合が行われた。お互いに決勝トーナメントへの道を切り開くためにも、初戦で勝利をもぎ取るのは必須。実力は拮抗しているだけに、激しいゲーム展開となることが期待されていた。
 
 リカルド・ガレカ監督率いるペルーは、昨年行われたロシアワールドカップにも出場するなど近年着実に力をつけてきているチーム。特徴は破壊力満点の攻撃陣であり、エースのパオロ・ゲレーロ、ベテランのジェフェルソン・ファルファン、クリスティアン・クエバら実力者は揃っている。彼らがいかに持ち味を発揮できるかが、勝利へのカギとなった。

 対するベネズエラも最前線にはサロモン・ロンドンがおり、中盤にはトリノでプレーするトマス・リンコンというファイターが存在するなど、持っている力は十分だと言える。昨年には3連勝中と好調だった森保ジャパンと1-1で引き分けるなど、どこか侮れないチームだ。

脅威となる右SB。それでも…

ルイス・アドビンクラ
90分間ベネズエラ代表の脅威となり続けたルイス・アドビンクラ【写真:Getty Images】

 試合開始から間もなくして、まず特徴を発揮してきたのはペルーだった。1トップのゲレーロがプレスのスイッチを入れると、それに反応した2列目、最終ラインの選手が一気にポジションを高めに取り、ハイプレスでベネズエラを襲う。たまらず前線に長いボールを蹴り込んだベネズエラだったが、ペルーのディフェンス陣にそれらをことごとく跳ね返され、カウンターに繋げられた。

 まず守備で優位に立ったペルーは、ボールを奪い取ったあとの攻撃面でも鋭さを発揮。実質トップ下の位置で自由に動くクエバにボールを集め、サイドのファルファン、クリストフェル・ゴンサレスを効果的に使う。それと同時にミゲル・トラウコ、ルイス・アドビンクラの両サイドバックも高い位置を取ることで、厚みのある攻めを展開することができていた。

 そしてペルーの破壊力が最も表れたのは15分のシーンだ。自陣でボールを奪った同チームはカウンターを開始。ファルファンがドリブルで相手陣内へ侵入すると、反対サイドを猛スピードで駆け上がってきたクエバへパスを送る。シュートは残念ながらゴール右へ大きく外れてしまったが、カウンターのスピード、質はやはり脅威となっていた。

 その後もベネズエラを相手に押し込んだペルー。とくに右サイドバックのアドビンクラの突破力と走力は大きな武器となっており、そこからいくつかのチャンスも生まれていた。右サイドハーフのファルファンは攻撃時、ゲレーロと2トップのような形になることもあったため、そのスペースをうまく利用することができたのだ。

 アドビンクラの脅威を感じたベネズエラも、インサイドハーフのリンコンをカバーに回すなど手を打ったが、勢いに乗った背番号17を止めるのは容易ではなかった。76分にはそのアドビンクラを起点とした攻撃からあわや失点の大ピンチを招くなど、どうしても解決策が見つからなかったのである。

 いつ点が入ってもおかしくはない展開へ持ち込んだペルー。しかし、ベネズエラに退場者が出たことで人数的にも有利に立つことができた同国だったが、結果的に得点を奪うことができず、試合はスコアレスドローで終了している。

大物食いもあるか?

 ペルーはこの日、シュート17本を放ちながら無得点に終わった。しかし、オフサイドの判定で幻のゴールとなったのが2つもあったことを忘れてはならない。それほど、ペルーはベネズエラのゴールに迫っていたのだから。

 そしてカウンターの質とスピード感も抜群だった。ゲレーロ、クエバ、ファルファン、C・ゴンサレスらで織りなす攻撃力はやはり魅力的。これらの選手がもっと持ち味を発揮できるようになれば、より高みへたどり着いてもおかしくないのではないか。

 そのためにも、次のボリビア代表戦で勝利することは必須。そして最大の正念場はやはりグループリーグ最終節のブラジル代表戦ということになるだろう。

 ブラジル相手にはボールを持たれる時間が長く続くことが想定されるが、ペルーの持ち味であるカウンターはそうした展開の方が発揮しやすくなるのは間違いない。その際、カゼミーロやフェルナンジーニョといった中盤の選手がかなり厄介なものとなるだろうが、そこを乗り越えればゴールの可能性はグッと高まることだろう。それだけのクオリティを、ベネズエラ戦では発揮していたのだから。

 課題は最後の質だろう。この日もシュート17本で無得点となっていることから、フィニッシュの精度は確実に上げなければならない。そうした点を改善できなければ、良いカウンターを見せたとしても「そこまで」となってしまう。ただ、そこをクリアした時に、“大物食い”も見えてくるのではないか。

 コパ・アメリカでは過去2大会で3位に輝くなど力を見せつけているペルー。今回も“何か起こしそうな”雰囲気は十分に漂っている。

(文:小澤祐作)

【了】

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