全ポジションが充実。最高の壮行試合を経て本番へ
若き日本代表にとって3試合の中でも最も厳しい戦いになりうるのがウルグアイとの第2戦だ。会場となるのはロナウジーニョの出身地としても知られるポルトアレグレで、ウルグアイとの国境からほど近い。ウルグアイは初戦をベロオリゾンチでエクアドル、第3戦をリオのマラカナンでチリと対戦するが、どちらもウルグアイからはやや離れた位置にあるため、日本戦をターゲットにしているサポーターも多いだろう。
昨年10月のキリンチャレンジカップでは確かに日本代表が4-3で勝利したが、当時は中盤のポゼッションを重視したダイヤモンド型の4-4-2を導入するなど、2006年からチームを率いるオスカル・タバレス監督のチームではあるが、かなりテスト色が強かった。
あれから8ヶ月で両チームがどう進化したのか本来のベストメンバーでぶつかって欲しかった部分もあるが、東京五輪世代がベースの日本代表にとって大きなチャレンジになることは間違いない。
コパ・アメリカではソリッドな4-4-2をメインに戦うと見られるウルグアイは6月8日に“聖地”センテナリオでパナマと親善試合を行い3-0で勝利。GKは守護神ムスレラ、ディフェンスラインが右からカセレス、ヒメネス、ゴディン、ラクサール、中盤がナンデス、ベンタンクール、ベシーノ、ロデイロという現在考えられるベストの布陣で、前線は10番を背負うブラジル名門フラメンゴ所属のデ・アラスカエタ、売り出し中のFWマキシ・ゴメスというコンビだった。
この試合では“二大巨頭”のスアレスとカバーニは途中出場だったが、溌剌とした動きを見せており、スアレスは2点目のゴールも決めた。またアーセナルのトレイラ、レアル・マドリーのバルベルデと言った中盤のタレントも出揃い、本番前にチームの状態が万全であることを誇示するような最高の壮行試合となったようだ。
世界中のスカウトが注目するウルグアイ戦。若き日本にも格好の舞台
ウルグアイの特徴は何と言ってもタイトなディフェンスと鋭いカウンターだが、ベンタンクール、バルベルデ、トレイラなど組み立て能力の高いMFが台頭して来たこともあってか、ポゼッションの要素も取り入れ、システムも可変性の高いものになっている。
いかなる形になっても球際の強さ、厳しさに変わりはない。中盤は個人でボールを奪い取れる選手ばかり揃っており、そこを何とか破っても後ろには百戦錬磨のゴディンと狡猾なヒメネスが構える。
サイドバックは右がセンターバック顔負けのデュフェンス力が強みのカセレス、左が推進力の高い攻め上がりのラクサールがファーストセットで、高い機動力と技術、戦術眼を併せ持つ左サイドバックのマルセロ・サラッチ(ライプツィヒ)も大会で輝きうるタレントだ。
充実ぶりは前線も負けていない。経験と実績が抜群のスアレス、カバーニが主力を担うことは間違いないが、上記のデ・アラスカエタとマキシ・ゴメスに加えてスペインのジローナでラ・リーガの得点ランキング5位となる19得点を記録したクリスティアン・ストゥアーニ、オランダPSVの長身FWガストン・ペレイロもいる。
もともと高い組織力を誇るところにタレント力もウルグアイ史上屈指になりつつある中で迎えるコパ・アメリカだけに、3大会ぶりとなる優勝に期待は高まるばかりだろう。
間違い無いのは3試合の中でも特に世界のサッカー関係者やスカウトが注目する試合だということ。若い日本代表にとって厳しいチャレンジになるが、チームとしてだけでなく、個人としてもインパクトを残せる格好の機会になる。
(文:河治良幸)
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