エルサルバドル戦を来季への試金石に
権田は「ポルトガルは自分に足りないところが多くありそうだと思ったリーグだった」とも語る。ビルドアップへの関わり方、クロス対応、相手との1対1の飛び出し方、ポジショニングなど、細部にわたって「差」だけでなく「違い」を実感しながら、自分のプレーに反映させるために努力する日々。「行くリーグはとりあえず正解だった」と30歳になった守護神は成長への意欲にあふれている。
9日のエルサルバドル戦は、ポルトガルでの半年間の積み重ねを日本代表にどう還元できるかを推し量る一戦になる。宮城の地で、ポルトガルで感じたことと、日本代表で感じたことをすり合わせながら半年間の成長を自らのプレーに落とし込んでいく。悔しさばかりが募ったアジアカップから、GKとしてどんな進化を遂げているだろうか。もちろんこの1試合が全てではないが、来季の挑戦に向けた重要な試金石ともなりうる。
「向こうでチャレンジしていることを、こっちでもっとアップデートして、それをポルティモネンセに戻った時にさらにアップデートして、という作業をやり続ければいい」
「鳥栖に残っていたら試合に出られた可能性が高いかもしれないですけれど、それを捨ててでも向こうでの練習環境だったりだとか、そういう厳しい中に自分を置きたいと思って(ポルトガルに)行きました。(日本代表に)帰ってきてしっかりプレーできませんじゃあ、本当に行った意味がなくなっちゃうので、そういうのはしっかり見せられたら」
もしかしたら3歩進んでも2歩下がるような、地道な挑戦だったかもしれない。それでも前進をやめることはない。9月以降のカタールワールドカップ予選でも日本代表の一員でいるためには、エルサルバドル戦でしっかりと挑戦の成果を証明し、さらなる自信を胸にポルティモネンセで正守護神として新シーズンを迎えることが何よりも重要だ。挑戦者・権田修一の決意は固い。
(取材・文:舩木渉)
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