ポルトガルで直面した現実
常に挑戦者であり続ける。これほど難しいことはない。人間、どこかで甘えや満足感が生じてしまうものだ。
「現時点で代表に自分がどれだけ貢献できるかという立ち位置は、割と今大会で明確になって、やっぱり貢献はなかなかできていないなというのが個人的な大会を通しての総括です」
権田修一は、今年の初めにUAEで開催されたUAEでのAFCアジアカップでの自らのパフォーマンスに全く満足していなかった。日本代表は準優勝。サムライブルーの正守護神を任されたが、チームを頂点に導くことはできなかった。ピンチを救う数々の好セーブがあった一方で、準々決勝のベトナム戦では自陣内での判断ミスにより、危険なパスからゴール前で相手にボールを奪われてあわや失点という場面もあった。
「これから先は僕がここで結果を残せるGKになるために挑戦をする。僕自身が別に代表で活躍しなくていいんだったら国内でやっていればいいんですけど、そこはしっかり自分がどこのステージでサッカーをしたいかを考えなければいけない」
アジアカップ終盤にサガン鳥栖からポルトガル1部のポルティモネンセへの移籍が決まっていた。J1で残留争いに巻き込まれた鳥栖において、失点をリーグで2番目に少ない「34」に抑える大活躍を披露し3年ぶりの日本代表入り。だが、それで満足しない。彼が追い求めたのはヨーロッパのトップリーグで感覚を研ぎ澄まし、GKとしてより高いレベルに到達することだった。そのためにリスクを冒して家族を連れて海を渡った。
だが、ポルトガルで直面した現実は厳しかった。ポルティモネンセが残留を争っていたこともあって正GKをいきなり入れ替えるのは難しく、ベンチ入りもままならない状況。結局、トップチームでの公式戦出場は残留が決まった後の最終節のみだった。
「シーズンの途中で移籍するのは簡単じゃないとわかっていたし、その中でとにかく自分でどうしたら出られるだろうというのを考えて、ひたすら足掻いていた感じですね。だからどういうプレーをしたらいいのか、自分の中でいろいろなチャレンジもしました。残留争いをしていてチーム状況的になかなかGKを替えられなかったので、それが(出場機会に)直結するとは限らない中でも、プレーのところもそうだし、練習以外のところでも、逆に時間があったので、そういう意味では自分でいろいろなチャレンジができた半年だったかなと思います」