ぎこちなさが消えれば…
最も避けたいのが相手に押し込まれた末に5バックになってチーム全体の重心が下がってしまうこと。これではボールを奪っても攻撃に出ていくためにかなりのエネルギーが必要で、ゴールに近づく回数が減ってしまう。そうならないためにウィングバックを前に出して相手のサイドバックをケアさせ、相手のウィングに対して同サイドのストッパーが寄せるのか。あるいは一度5バックのようにポジションを整えてウィングバックを同サイドのウィングと対峙させ、サイドバックのケアを味方のシャドーに任せるのか。
いずれにしろ常にストッパーとウィングバックの距離感を適切に保ち、同サイドのシャドーやセントラルMFも含めて誰がどこまで動き、どの相手選手に寄せるのかといった細かいタスクを状況に応じて整理しておかなければいけない。それは両サイドそれぞれに言えることで、左右で考えていることを共有しておかなければならない。
ウィングバックが前に出過ぎれば、相手のカウンターを食らった際にセントラルMFや左右のストッパーがカバーする範囲が広大になってしまい、1対複数で危険な状況にさらされるリスクも高まる。こうして守備に全力で戻らなければいけない場面もあれば、相手の出方に応じてビルドアップに絡み、ラストパスも出す。ウィングバックのポジショニングは間違いなく森保監督の3-4-3において鍵となる。
サッカーにおいては攻撃よりも守備の方が整備しやすいと言われる。まずは最終ラインの選手間の関係性や、ストッパーとウィングバックのポジショニングを整理し、組織として適切な距離感が見つかってくれば攻撃にも自然と厚みが出てくるはず。
左サイドではすでに中島が攻撃のスイッチを入れる際に、長友が背後をランニングしてスペースを作りだすなど、いくつか「型」ができつつある。こうしたコンビネーションは選手同士の相性もあるので、これから新たな発見もあるだろう。
まずは9日のエルサルバドル戦、メンバー変更もあるかもしれないが、その中でも森保式3バックがどんな進化を見せるかに注目だ。今後も4バックがメイン戦術になるとしても、仮にトリニダード・トバゴ戦のようなぎこちなさが消えてくれば、日本代表の戰いの幅はぐっと広がる。
(取材・文:舩木渉)
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