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マンUとアーセナルの運命を分けたあの一戦。ギグスが伝説となり、ヴェンゲルのトラウマとなった激戦【私が見た平成の名勝負(4)】

シリーズ:私が見た平成の名勝負 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

後半に起きたドラマ

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デイビッド・ベッカムのミドルシュートでマンチェスター・ユナイテッドが先制した【写真:Getty Images】

 デイビッド・ベッカムのミドルで先行を許したものの、主導権はアーセナルが握っていた。そして69分、デニス・ベルカンプのシュートが、ユナイテッドDF陣にディフレクトしながらゴールに吸い込まれる。

 さらに5分後……。さぁ、いよいよドラマが幕を開けた。

 ユナイテッドの闘将ロイ・キーンが、マルク・オーフェルマルスに対するレイトタックルで2枚目のイエロー、退場処分。アーセナルが攻勢の色を強める。

 後半追加タイム、レイ・パーラーがペナルティボックス内で突破を試みる。フィル・ネヴィルの対応は明らか遅れていた。PK! 狂喜乱舞するアーセナル・サポーター。キッカーは《アイスマン》の異名をとったベルカンプである。再試合にまでもつれた準決勝にもついにピリオドが打たれる、と考えた者も少なくはなかったはずだが……。

 ひとつ息を吐くベルカンプ。微動だにしないシュマイケル。次の瞬間、今度はユナイテッド・サポーターが狂喜乱舞していた。ベルカンプのキックが強度、コースとも十分ではなかったとはいえ、シュマイケルはいとも簡単に弾き飛ばしてみせた。

「まだ終わりじゃねえんだよ。もうちょっと遊ぼうぜ」とでも言わんばかりの表情が、延長戦に向かうユナイテッドを勇気づけている。マイナス1のハンデはもはやないに等しい。選手たちの表情には精気がみなぎり、攻守ともに堂々と振る舞いはじめた。

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