日本代表の森保一監督【写真:Getty Images】
日本代表は5日、国際親善試合でトリニダード・トバゴ代表と対戦。終始攻め続ける展開になったが、結果は0-0のドローに終わった。
森保一監督は、就任以来初の3バックを採用してこの一戦に臨んだ。右から冨安健洋、昌子源、畠中槙之輔と並べ、酒井宏樹と長友佑都をウィングバックに据える形を組んだが、攻撃面は機能しきらず。前後半合せて25本ものシュートを放ちながらゴールネットを揺らすことはできなかった。
ロシアワールドカップ後に日本代表監督に就任して約1年で、3バックの導入を決断した背景には何があったのか。森保監督は試合後の記者会見で「これまでも毎回試そうかなという思いは持って活動してきた」ことを明かした。
やはりサンフレッチェ広島時代の3バックのイメージが強い指揮官だけあって、その構想はずっと持ち続けてきた様子。実際、兼任している東京五輪世代のU-22代表では「まず自分がこれまでやってきたことをやって、ベースを作り、そこからまたオプションとして4バックを試合中に試してみたり」という方向性で基本システムを3-4-3にして戦ってきた。
だが、A代表は全く逆のアプローチを採って、4バックをベースにチームを構築してきた。森保監督はそれについて「私が昨年のロシアのワールドカップでコーチとして経験させてもらった中で、まずは西野(朗)監督がやられていたこと、そして色々な選手にも合っている」と理由を説明する。
さらに「変に急いで次のオプションを作っていくよりも、ベースを固めながらオプションを作ることを考えていければ」と、毎回招集メンバーを入れ替えながら4バックでの戦い方を浸透させることに力を注いできた。
そうして約1年にわたって、アジアカップも挟みながら4バックでの戦いを続けたことにより、「これまでの活動で戦術的にはスムーズにこれて」選手たちの理解も進み、オプションとしての3バックの導入に踏み切る準備が整ったと判断したようだ。
森保監督はトリニダード・トバゴ戦を終えて「9月からカタールワールドカップの予選が始まりますが、それまでの活動がなかなかない中、ここで(3バックを)やって、選手が感覚的に覚えていってくれればまたオプションとして使っていける」と手応えを感じている。
ただ、これはあくまでも「オプション」にすぎない。今後も「現段階では4バックがベースになると思っています」と森保監督は念押しする。そして「3バックにしても4バックにしても、選手にも話しましたが、我々の戦い方の原理原則は変わらない」と、まずはこれからも全員でのハードワークを貫く姿勢を強調していた。
(取材・文:舩木渉)
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