「刺激、刺激しかないですね」
では、当の久保本人は「日本代表」という場所を、実際にどう感じたのだろうか。
「代表なのでみんなうまいのがまずあって、練習の強度もFC東京と比べて高いですね。所属クラブでは1週間の試合に向けて、日によって調整がありますけど。でも、ここは毎回、練習、練習という感じで、特に試合のためという感じじゃなくやっているので、そういう意味では強度が違って高いのかなと思います」
初めて合流した日本代表では「やっぱりゲーム形式ではみんなおもしろいプレーをして、やりながら楽しいです」とも久保は言う。Jリーグでも圧巻のプレーを見せ続けている彼ですら、周りを「速い」と感じ、自分にないアイディアや感覚も発見できている。
自分と同じ攻撃的なポジションを担う選手たちのプレーを見て、久保は「全然、みんな違うタイプですけど、強いて言うならば前目の選手はみんなゴールを狙っている感じがします。ちょっと不利なところでもやや強引にっていうのがある」と感じた。どこからでもゴールを狙う意識は自分にもあるが、周りは自分よりもある、と。
常に自分よりも実力や経験の優る選手たちが揃った環境に飛び込んで、その場所のレベルを超える選手へと成長し、活躍するステージを上げてきた。それは久保が急激に成長速度を上げている要因であり、負けず嫌いで意地っ張りな性格も、貪欲に新しいものを求めて突き進む原動力になっている。
今度は18歳になったばかりで日本代表の中に飛び込み、その基準を肌で感じ、新たな指標を頭と体に刻み込んで、日本代表を超える選手になっていく。今回の合宿はその足掛かりとなるものかもしれない。まだ試合には出場していないが、「刺激」は十分に受けた。
「刺激は常に感じますね。刺激=うまくチームに入れない感じではないですが、自分が今年積み重ねてきたこと、今までの経験がすごく生きているとは思います。ただ、刺激、刺激しかないですね」
1つの答えで「刺激」を3回繰り返すとは。たった3日間しか練習していなくとも、そこで得たインスピレーションは相当なものだったのだろう。「一番は試合を見ることですし、試合に立つことなので、練習でっていうよりは試合を見て感じることなのかなと思います」とも久保は語る。