「真司と一緒にプレーすることはもうないと思う」
かつて自身が「平成生まれ初の代表選手」として19歳で代表入りした頃、攻撃のタクトを振るっていた10番の先輩・中村俊輔は頭を使って周りを動かす仕事に長けていた。香川も先人のプレーを参考にすべき時期に来たのかもしれない。
奇しくも次のトリニダード・トバゴ戦は国際Aマッチ98試合目。その中村俊輔も、そして本田圭佑も同じ98試合で代表の一線から退いている。代表の看板として長く君臨した2人に肩を並べ、100試合に到達し、その先のキャリアを形成するためにも、この一戦で異彩を放つことは肝要だ。
ゴールかアシストという明確な結果が残せればもちろん理想的だが、何らかの形で「香川真司が代表にいる意味」を示さなけばならない。それだけは確実に遂行してほしい。
今回の6月シリーズで活躍することで、来季の活躍の場も見出しやすくなるだろう。ベシクタシュ残留が消えたと見られる香川がレンタル元のドルトムントに復帰する可能性はほぼない。
U-20ワールドカップ2019参戦中のDFダン・アクセル・ザガドゥも「真司と一緒にプレーすることはもうないと思う」と断言していた。となれば、別のプレー環境を見出すしかない。
欧州ではドイツの他クラブやイングランド、トルコのガラタサライなどが移籍先候補と報じられているが、次のステップが彼自身の選手生命、ひいては代表キャリアを左右するのは間違いない。だからこそ、2連戦を大事にしてもらいたい。
「カタールまであと3年。そこまでのプランニングを明確にしておきたい」と3度目のワールドカップを真っ直ぐに見据える背番号10には、森保ジャパンの牽引者たるべき働きを強く求めたい。
(取材・文:元川悦子)
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