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リバプールに栄冠もたらした奇跡の男、ディボック・オリギ。戦力外のFWが英雄となる物語

text by 内藤秀明 photo by Getty Images

オリギを出すくらいなら…。ファンも認めず

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17/18シーズンはドイツ・ヴォルフスブルクに期限付き移籍した【写真:Getty Images】

 2015年にフィルミーノ、2016年にサディオ・マネ、そして2017年にモハメド・サラーを獲得して、とうとうリバプールの3トップは完成した。するとクロップ3年目となる、サラー加入シーズン、オリギは再度レンタルの道を選ぶ。ヴォルフスブルグに出場機会を求めざるを得なかった。

 ドイツの地ではリーグ戦31試合出場6ゴールというまずまずの数字でシーズンを終え、そしてリバプールに戻って迎えた今シーズン、プレシーズンマッチの時点ではオリギの残留は微妙に見えた。

 左ウイングで起用されても、ドリブルで抜けるわけでもなく、かといって高い精度のクロスを持っているわけでもない。フォワードで起用されても、オフザボールの動きが少なく、違いを作れない。

 フィルミーノやマネの控えとして最終的に残留を決めるものの、主力を出場させるリーグ戦やチャンピオンズリーグで多く出番をもらえないことは明らかだった。実際11月までは一度もリーグ戦に出場していない。そしてそれを気にするファンはほとんどいなかった。

 彼の、そして、リバプールの運命が変わったのは12月に行われたマージーサイドダービーだろう。

 すでに語られつくされているかもしれないが、スコアレスで迎えた82分に途中交代で今季初となるプレミアリーグ出場を果たす。するとラストプレーとなる96分にジョーダン・ピックフォードのパンチングミスを、ヘッドで流し込んで重要なダービーマッチで勝利の立役者となった。

 ファンにとっては一生忘れられない劇的なゴールを決めてヒーローになった男は、年末から徐々に途中出場で試合に出始めるものの、一部ファンからはまだ認められていないように見えた。

「オリギが出ても試合は変わらない」

「オリギを出すくらいなら、ジョルジニオ・ワイナルドゥムを3トップの一角に置いてもいいのでは」

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