久保は初A代表で本来のプレーを見せられるか
トップ下に関しても、国際Aマッチ97試合出場31得点という偉大なキャリアを誇る香川と、森保ジャパンで重要な役割を担ってきた南野拓実という2枚の看板がいて、ポジション争いはし烈を極めそうだ。香川に関しては1月末にレンタル移籍したベシクタシュでは14試合出場4得点という悪くない結果を残したものの、定位置獲得は叶わずじまい。加えて、新天地を探さなければならない状況にいる。
南野にしても、5シーズン目となったザルツブルクでリーグ制覇を達成したが、リーグ戦二桁得点が叶わず、ヨーロッパリーグでも目立つ結果を残すには至らなかった。2人揃って悔しさを抱えた状態で帰国し、今回の代表合宿に参戦しているだけに、危機感を前面に押し出してくるに違いない。
年上に対しても「ボールをよこせ」と平気で主張するなど、日本人離れしたメンタルを誇るバルセロナ育ちの久保と言えども、A代表独特の雰囲気や年長者たちの存在には気圧される部分が少なからずあるかもしれない。本格的なトレーニングは3日からになるが、そこで堂々と立ち振る舞って、FC東京で見せているような本来のプレーを出せるかどうかはやはり興味深い点だ。
「これからホントに成長していくのは簡単じゃない。あれだけ期待されながら、自分のレベルを上げていくのは簡単なことではない」と長友も神妙な面持ちで語っていたが、「バルサ育ち」「全カテゴリー飛び級招集」「17歳でのA代表入り」といった看板を引っ提げる久保は、凄まじい注目度の中で飛躍を遂げていかなければならない。そのプレッシャーの打ち勝つのは生易しいものではないだろう。
こういった難しい環境の中、森保監督は彼をどう起用するつもりなのか。トリニダード・トバゴとエルサルバドルとの2連戦で使うとしたらスタメンなのか、サブなのか。ポジションはどこなのか。指揮官の思惑を含め動向が大いに気になるところだ。いずれにしても、「日本代表の久保建英効果」がどういった形でもたらされるか。そこに注目したい。
(取材・文:元川悦子)
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