「決勝で負けたら、それは犯罪だ」
チャンピオンズリーグ決勝戦の中でも、世紀の大逆転劇として記憶される名戦だ。
ACミランが前半戦に3点リードを奪ったが、リバプールが後半、わずか6分の間に3点を返し、PK戦の末に勝利をおさめた。
この試合は、「絶対にリバプールが勝つ!」という予感があった。敬愛するリバプールのキャプテン、スティーブン・ジェラードが、前日会見の席で、
「決勝で負けたら、それは犯罪だ」
と言い放ったからだ。
古い記憶なので文言は違うかもしれないが、意味はあっている。これまでのスポーツライター人生で聞いた中でも究極の名文句だ。
こんなにも強い意志がこめられた言葉があるのかと、大きな衝撃を受けた。そしてこんな言葉を言い切れるキャプテンがいるなら絶対にリバプールが勝つ! と確信した。のだが……。
試合は、前半戦にACミランが3点を奪う予想外の展開に。チャンピオンズリーグ決勝戦という究極の一戦で、3点ダウンは相当厳しい。
しかしキャプテン・ジェラードは、前日の言葉を自ら行動で示してみせた。
54分にヨン・アルネ・リーセのクロスから得意の強烈ヘッド弾を叩き込んでまず1点を返す。
この時ジェラードが、「オラァっ!こっから行くぞぉぉぉぉぉ〜」という感じで腕をブンブン振り上げて周りを鼓舞していたその姿の逞しさよ……。
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