いつもと異なる戦い方を選んだリバプール
今季3度目の涙は“嬉し涙”になった。
1度目はチャンピオンズリーグ準決勝2ndレグ・バルセロナ戦。誰もが絶望的と思った決勝進出を決めたとき、ほとんどのリバプールの選手たちは感極まっていた。
2度目はプレミアリーグ最終節・ウルバーハンプトン戦。2-0で勝利し、勝ち点を97としたものの、マンチェスター・シティにわずかに勝ち点「1」下回り、悲願の優勝を逃した“悔し涙”だった。
トッテナムとのプレミア対決となった今季のCL決勝。2-0で勝利したこの日、リバプールの選手たちは3度目の涙を流した。
先制したリバプールは、いつもと異なる戦い方を選んだ。
リバプールの攻撃の最大の特徴は両SBにある。高い位置をとる両SBにサイドチェンジが入り、ルックアップした状態でクロスをあげる。今季はそのようなシーンから多くのチャンスを演出したことは、2人合わせて29アシストを記録した両SBのアンドリュー・ロバートソンとトレント・アレクサンダー=アーノルドが示している。
しかし、この試合では変化が見られた。両SBはカウンターのリスクを警戒してか、あまり高い位置はとらず。代わりに相手DFの裏を突くロングボールを使って、サディオ・マネが抜け出すシーンが何度も見られた。開始25秒にPKを獲得した場面もそうだった。
UEFAが出した平均ポジションのデータを見ても明らかだ。いつもは中盤3人と同じか、それより高いポジションをとるリバプールの両SBが、この日はきれいにCBとともに“4バック”を形成していた。
リバプールは諸刃の剣でもある、自分たちの武器を捨て、勝つ確率が高い方法に賭けた。