注目するしかない。齊藤未月のプレー
日本はここから次なる戦いへと突入していくことになる。6月4日のラウンド16の相手はポルトガルか韓国になりそうだが、いずれにしても厳しい試合になるのは間違いない。過去の大会で8強までたどり着いたのは、97年マレーシア、99年ナイジェリア、2003年UAEの3回だけ。A代表も16強超えに苦しんでいるが、このステージが「日本の鬼門」なのは紛れもない事実なのだ。
「でも僕はここまで来たら50%くらいの確率で優勝できると思っています。決勝トーナメントは何が起きるか分からないから。PKになってそれで勝てる可能性もある。だからこそ、優勝を狙いたいと思いますね」
齊藤が語気を強めるシナリオを現実にするためにも、選手たちがより一丸となって結束して戦う集団にならなければいけない。今の日本はケガの田川と斉藤光毅は出場困難と見られ、イタリア戦でアップもしなかった宮代大聖、藤本寛也、郷家友太の3人も万全の状態からは程遠い。PKを失敗した伊藤も好不調の波が大きく、戦力的にはかなり厳しいのが実情だ。
その苦境を救うべく、無尽蔵のスタミナと強靭なメンタリティを誇るキャプテンが力強くチームをけん引しなければならない。彼が号令をかけて少しのスキも作らないような集団になれれば、影山ジャパンのミラクルは起こり得るのだ。
彼自身がエクアドル戦でイエローカードを1枚もらっているのも懸念材料ではある。指揮官に「野生のトラ」と言わしめた闘争心の出しどころを巧みにコントロールすることも肝要だ。齊藤未月がいなければ、この先の日本の戦いは成り立たない。それほど重要度の高い小さな大黒柱の一挙手一投足に我々は注目するしかないだろう。
(取材・文:元川悦子【ポーランド】)
【了】