「死の組」を突破。主将が得た手応え
「自分が今まで何をやってきたかが大事。走力や運動量というのは僕の土台だし、湘南ベルマーレの選手だからこそ、それを出さなければ意味がない」とキャプテンは目を輝かせた。
曹貴裁監督仕込みの常人離れしたフィジカル、そしてJの試合を積み重ねて体得した安定感がどれだけ今のチームの助けになっているか分からない。齊藤未月がいなければ、U-20日本代表の16強入りはあり得なかったと言っても過言ではないだろう。
実際、影山ジャパンの中核だった久保建英と安部裕葵、橋岡大樹らが大会直前に不参加となった時には、多くの人が「今回はグループリーグ敗退もやむを得ない」と諦めかけたことだろう。エクアドル、メキシコ、イタリアという「死の組」に入ったことも悲観論に拍車をかけた。
しかしながら、安部からエースナンバー10を託された166㎝の小柄なダイナモは、エクアドル戦からフルスロットルで飛ばしていく。
「僕は大会前から1試合目がエクアドルでよかったと話していたけど、本当にラッキーだった」という想像以上の難敵に押し込まれ、劣勢を強いられながらも、齊藤中心にしのいで1点のビハインドを跳ね返してドローに持ち込んだ。
これで日本は希望をつかみ、続くメキシコ戦の3得点圧勝につなげていく。イタリア戦も伊藤がPKを外し、田川も負傷直前の1対1を止められるなど再三の決定機を逃し、自ら流れを失ってしまいそうだったが、齊藤はしっかりと手綱を握って仲間たちを確実にコントロールした。
「相手が少し痛がるふりをして、すぐファウルになってゲームが止まる時間が多かった。そこで焦れて失点したら、それこそ相手の思うつぼ。日本人が典型的にやられるパターンですけど、それをゼロに抑えられたことは積み上げてきたものが1つ出たのかなと。出てる選手出てない選手が一体となってやれているのも大きい」とキャプテンは3試合のチームに成長に手ごたえをつかんだ様子だった。