優勝する意味合いが多いアーセナル
さらにいうとELを優勝することに対する意気込みが強いのはアーセナルかもしれない。というのも、この一戦に来季のCL出場可否がかかっている。この出来次第で、資金面でも、大物選手を勧誘する上での魅力という面でも、夏の移籍市場での優位性が変わる。
そしてスタメンとして出場する可能性が高いペトロ・チェフの勇退もかかっている。2015年にアーセナルに加入してから、ベテランGKとしてピッチ内外でプロフェッショナルな振る舞いを続けてきた。アーセナルファンとしては彼を気持ちよく送り出したいところだろう。
あるいは出身国のアルメリアと、開催国のアゼルバイジャンが政治的な緊張状態にあるため、入国すら叶わなかったヘンリク・ムヒタリアンのためにも優勝したいという気持ちもあるようだ。実際ソクラティス・パパスタソプーロスは「ムヒタリアンのためにも優勝しなければならない」と意気込みを語っている。
これらの背景がモチベーションとなるのか、プレッシャーとなるのか。どうなるかはふたを開けてみないとわからない。
ただ願わくばアーセナルはこれら事情をモチベーションに変え最高のサッカーを披露してほしいところだ。そしてチェルシーには、まるでヒールのように、このアーセナルの思いを打ち砕くためにも最高のサッリボールを全世界に見せつけてほしい。
白熱した一戦になることを心から期待している。
(文:内藤秀明)
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